Japanese Dragonflies. report from Yokohama, Fukuyama city.
日本のトンボ「イトトンボの仲間」
Japanese Dragonflies Zygoptera
report from Yokohama, Fukuyama city.
図鑑を眺めていると、アオイトトンボ科は大きく分けてオツネントンボ系とアオイトトンボ系の2系統に分かれているように見えます。しかし学名で見ると名前と属が一致していない場合もあって、外見だけでは中々違いがわかりません。ただアオイトトンボ属に関しては翅を半開きにして止まるため、他のイトトンボとは明らかに印象が違ってきます。
長野県茅野市
1024×682 px
2024/05/25
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
まずはじめに、オツネントンボという名前を聞いても「??」となる方がほとんどではないかと思います。きっと「オツネンって何?」みたいな感じではないでしょうか。「おつねん」は漢字で「越年」と書きます。つまり越冬するトンボという意味です。オツネントンボは夏から秋にヤゴから羽化してトンボの姿となりますが、なんとそのまま冬を越して、春になって冬眠から目覚めた後で成熟し、やっと繁殖に至ります。私の知る限りこの手の越冬トンボは日本に3種ほどしかいません。また3種ともにイトトンボです。小さく細くて、天敵から目立たないのがいいのでしょうか。それとも体が小さい方が耐寒の分で有利なことがあるのでしょうか。
オツネントンボは羽化したときから褐色のトンボで、♂ も ♀ も成熟しても色は分からず一生の間雌雄共に地味な色のまま過ごします。ただし成熟すると、唯一の特徴として♂ の眼の後ろ側が青い輝きを持つのだそうで、確かにこの絵を見ると、眼に青い光が入っていますね。
ということで、この個体は一冬を越した ♂ 成虫ということになります。
「オツネントンボ ♂ 2」 クリックで拡大します
長野県茅野市
1024×682 px
2024/05/25
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
オツネントンボは茶色いトンボなので緑の葉に付くと逆に目立ちますね。。
広島県府中市
1024×682 px
2015/06/27
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
ホソミオツネントンボも一つ上の「オツネントンボ」と同じで越冬するトンボです。ただし「オツネントンボ」とは違って成虫 ♂ は冬を越した後、体の色が淡い褐色から青色に変化します。(♀ は越冬しても生まれたときの薄茶色のまま)
以上の話から、この個体は一冬を越した ♂ 成虫ということになります。
「ホソミオツネントンボ ♂ 2」 クリックで拡大します
広島県府中市
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2015/06/27
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
腹の節の模様が面白いトンボですが、模様が分かりやすい絵は草被りのものしかありませんでした。あしからず。腹先端の付属器が下方向に曲がっているのがホソミオツネントンボ ♂ の特徴なのだそうです。ただし小さいので肉眼では中々見えにくいでしょうね。。
長野県松本市
1024×682 px
2024/08/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
アオイトトンボは出会いが少ないイトトンボです。福山市在住時にはオオアオイトトンボは見られても、アオイトトンボは見られませんでした。そして関東に移り住んでからやっとのこと、群馬北部の高原湿原で観察することができました。その後は長野の松本市でも見つけることができましたが、いずれも標高1,400mを超える高地で見ています。図鑑によれば平地でも見られるようですが、私の経験的には高地にいるイトトンボという印象があります。
アオイトトンボの仲間は翅を半開きにして草木に止まるので、他のイトトンボと間違うことはまずありません。とはいえ、たまに翅を閉じたオオアオイトトンボを見ることがあるので全部が全部ではありませんが、基本的にこの翅の開きで「アオイトトンボ系だな」と分かると思います。
アオイトトンボもオオアオイトトンボも、身体がメタリックグリーンをしていて、妖しい輝きを見せてくれます。この色目は太陽の下だと反射光が強くなって色が飛びがちなため、少し日陰で見た方が絵としてきれいですね。また、アオイトトンボはオオアオイトトンボと違って成熟すると胸の部分に水色の粉を吹きます。以上から、この個体は成熟したアオイトトンボの ♂ だとわかります。
「アオイトトンボ ♂ 2」 クリックで拡大します
群馬県利根郡
1024×682 px
2023/7/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
アオイトトンボの青い目は宝石のように美しいです。
広島県福山市
1024×682 px
2013/10/27
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
これから紹介する3枚のオオアオイトトンボは皆、福山市在住時の記録です。ただ関東に来てからも観察しているので、そこそこポピュラーなイトトンボだと感じています。また、これらを記録した場所ではモノサシトンボもよく見る印象があります。どちらのトンボも「周囲に木が多くて少し暗い感じの池のほとりで、覆い茂った草木をかき分けて歩いていると、驚いたイトトンボが目の前にふらふらと飛んで現れる」というシチュエーションです。ただオオアオイトトンボの場合は、翅を半開きにして草木に止まってくれるので、カメラレンズを通して拡大視しなくても目視レベルですぐに正体がわかります。
♂ は腹の先端にあるかぎ状の付属器が外側から中央に向かって弧を描いて伸び、丸い輪のように見えるので割と ♂ ♀ 判別がしやすいトンボだと思います。
この絵は秋も深い頃の記録なのでほぼ老成した個体と見え、眼がきれいな緑色をしています。一方でアオイトトンボの方は目がブルーになるのでこのあたりも見分けのポイントになります。
「オオアオイトトンボ ♀ 未成熟個体」 クリックで拡大します
広島県福山市
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2014/06/21
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
こちらは ♀ の画像です。まだ梅雨時で発生時期としては早目でありますし、この個体は未成熟な ♀ だと思われます。若い個体なのでまだ眼がオレンジ色をしています。
オオアオイトトンボの ♀ は腹の先端が、途中の節と比べてかなり太くなるのでそこだけで判別が可能です。それ以外の色目は ♂ ♀ あまり変わらないと思います。
「オオアオイトトンボ ♀ 成熟個体」 クリックで拡大します
広島県福山市
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2013/09/22
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s +
Nikkor Ai TC-14BS
3枚目に紹介するのは秋の記録なので、十分に成虫となった ♀ だと思います。上の一枚と比べると、眼がきれいな緑色をしていますし、腹の先端もかなり膨らんでいるのがわかります。
まるで甲虫のようにメタリックに輝く背の色目がとてもきれいです。
私のオオアオイトトンボの記録は7回あって、6/21~11/23までの間で見つけています。うち9月以降が5/7回あるので、どちらかといえば秋に多いトンボという印象があります。
カワトンボ科は専用ページへ
広島県福山市
1024×682 px
2012/06/17
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
モノサシトンボは池の縁あたりでよく見る中型のイトトンボです。カワトンボよりは小さく、クロイトトンボみたいな普通のイトトンボよりは大きい感じで、割と見つけやすいイトトンボです。
長めの腹の節ごとに細くはっきりとした筋マークが入っていて、これがモノサシの差し目のようにに見えることからこの名がついたそうです。♂ は淡い水色で優しい色目をしたトンボです
「モノサシトンボ ♂ 正面」 拡大はありません
広島県福山市
1024×682 px
2013/07/14
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
モノサシトンボの顔は横長で、小さな口が突き出しています。ちょっと他では見ない感じのトンボです。
正面から撮ると小ぢんまりした絵になってしまい、割り切ってサムネイルサイズのみのアップ絵としました。
「モノサシトンボ ♀ 」 クリックで拡大します
広島県福山市
1024×682 px
2013/07/27
Nikon V1 Mode A
Ai AF Micro Nikkor 105mm F2.8S
この絵は、当日があまりに暑かったために鳥はあきらめて虫Onlyに狙いを替え、「どうせ虫だけならマクロで撮ってみるか」と古いNikkor 105mm f2.8 Microを持ち出して撮ってみたお試し写真の中の一枚です。この日は他にもチョウなどを撮ったりしましたけれど、画面いっぱいには撮れても、後で見たらどれも今更な感じがして、以後虫撮影にマクロレンズ(Nikonなのでマイクロレンズか)を持ち出すことはなくなりました。ただ冷静になって考えてみると、なんでも日の丸写真にしてしまうから飽きてしまうだけかもしれません。もっと工夫して、例えば「チョウの羽模様の特徴を活かしながら詳細に撮るのも面白いのだろうな」とか思ったりもします。ただこのように思ってはみるのですが、やはり暑い夏の日にサブ機材まで持ち歩くのも辛いもので、中々そちら方面には進まない私です。
「モノサシトンボ ♀ 未成熟」 クリックで拡大します
広島県福山市
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2015/08/01
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
足が赤いのでまだ未成熟の ♀ 個体だと思われます。
この絵は福山市内の山奥にあるダム湖の横の周回道路で撮った絵だったと記憶しています。周囲ではタカネトンボが飛んでいて、カラスアゲハが道端の水を吸っていました。昆虫の当たり日だったのを今も覚えています。(鳥は外れました)
「モノサシトンボ ペア」 クリックで拡大します
広島県福山市
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2015/08/01
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
この絵は上の未成熟個体と同じ日に記録したものです。片や未成熟個体で、片やペアリングが同時に見られるのも不思議な感じですが、モノサシトンボは梅雨時から秋口くらいまで割と長い間で見られるトンボなので、自分的には違和感はありません。
私のモノサシトンボの記録は11回、時期は5/28~9/7日までで、図鑑に書かれている出現時期とほぼ同じ結果になっています。
群馬県利根郡
1024×682 px
2023/7/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
カラカネイトトンボは群馬県の高原湿原で見つけた小さくてとてもきれいなイトトンボです。本種に関しては、何かを狙って探すわけでもなく、ただ下を向いて歩き続けていたら偶然見つけた、という感じで、かなりのラッキーに部類される出会いだったと思います。(国内では純絶滅危惧種 NT)
色目的にはアオイトトンボ系で見られる金属光沢をしたきれいなイトトンボです。一方、アオイトトンボはアオイトトンボ科というグループで、カラカネイトトンボはイトトンボ科というグループにそれぞれ属しています。イトトンボ科の中で金属光沢を持つ体色をした種はこのカラカネイトトンボ以外に見られず、また観察できる場所(繁殖地域)が国内でも限定的なため、結構レアなイトトンボと見なされているようです。そもそもサイズがもの凄く小さいために、観察の印象としても可憐な感じが残って、余計に希少感が感じられるのかもしれません。
私の観察記録は上の一度のみ。もともと寒冷地に住まうタイプのトンボなようで、北日本から北海道でしか見られないようです。私の記録も群馬県北部のかなり人里離れた高原での観察です。本州中部以西の人間にとって、狙って観察するには結構な準備と気構えが必要な種のようです。そう考えると、本種が見たい場合は本州での観察を考えるより、北海道の道東など平地でも見られる場所へ行く方が、かえって楽なのかもしれませんね。
広島県福山市
1024×682 px
2012/06/17
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
キイトトンボは、名前の通り体があざやかな黄色をしたイトトンボです。日本国内でこのような色をしたトンボは本種だけなので、見間違うことはまずありません。
ただこれだけだととても目立つように思えますが、葉っぱの中に隠れていると意外と目立たず、飛んでいるところを見つけない限りは見つけにくいトンボだと思います。なお、キイトトンボは飛ぶとき非常に低速でゆっくりと移動します。ずっとホバリングしながら左右にぶれつつ徐々に前に進む感じです。見ていておっとりした感があり、可愛らしいトンボです。
身体のサイズは中の大くらいといったところでしょうか。そんなに大きくはないものの、腹が結構太目なのでわりとがっちりした風に見えます。
「キイトトンボ ♂ 正面」 クリックで拡大します
広島県福山市
1024×682 px
2013/08/04
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
こちらはD200で撮った記録です。濃い緑に鮮やかな黄色がよく映えます。
キイトトンボの顔は口回りが大きく突き出た顔をしていてユニークな感じです。
「キイトトンボ ♂ 未成熟」 クリックで拡大します
広島県世羅郡
1024×682 px
2015/06/20
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
未成熟の ♂ 個体です。眼や胴の肩部分がまだ薄褐色で、腹先端の黒色斑も薄いです。御覧のように草の中では保護色になって、非常に見つけにくいトンボだと思います。
「キイトトンボ ペア」 クリックで拡大します
静岡県富士宮市
1024×682 px
2024/08/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
キイトトンボに関して私の過去記録を見直したところ、何故なのか写っている個体全てが ♂ ばかりでした。なので、「次に出会ったときは絶対 ♀ を見つけるぞ」と心に留めておきました。
その後2024年の8月に富士山周辺の高原でキイトトンボの大群を見つけまして、さっそく♀ を探します。おそらく数十匹はレンズ越しに姿を見ていったのですが、なんとこれまた出てくる個体全て ♂ です。「??なんで??」といくら追いかけてもがっかり続きな結果となりました。ただ水たまりでは連結したペアの産卵がそこらじゅうで行われており、あたりまえですが、こちらでは ♀ の姿が確認できました。ということで私にとって唯一の ♀ の記録は、こちらの産卵時の連結姿となります。♂ と違い、腹先端部の黒色模様がなく、少し赤っぽい色になっています。
さて、ペアになっていない ♀ はいったいどこに隠れているのでしょうか。きっと草の中に紛れているのでしょうね。少なくともその辺を飛び回る ♀ はいないようでした。
私のキイトトンボの記録は7度あり、6/20~8/19までと真夏に固まっていました。場所でいうと5回は福山近辺での記録で、1回は群馬県の高原、最新は富士山周辺の高原での記録です。横浜近辺ではまだ見られていません。レアな種ではないのでたぶん近所の川沿いとか歩いたらいるような気もします。
新潟県十日市市
1024×682 px
2019/05/26
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
エゾイトトンボは名前の通り北海道に多い北国のイトトンボです。ただ北海道だけでなく東北から北陸あたりにも多く分布していて、西は福井あたりまで生息しているようです。私の場合、たまたまかもしれませんが、いずれも山筋から流れてきたきれいな水質の湿地や池で見ています。冷たい水が似合うイトトンボな印象です。
この絵は「ゴーヨン+1.4xテレコン」のセットで撮っています。結果きれいなエゾトンボが撮れたなと満足しています。
テレコンはマクロ的に撮る分には絵質の劣化も感じず、近距離のクローズアップ風撮影には都合がよいです。ただゴーヨンは基本、三脚込みで鳥を撮るときに使うレンズですし、最近は鳥撮りにテレコンを使用することをやめた(同等までの拡大後、比較しても絵質の優位さを感じない)ため、夏場で鳥が期待薄な時期(鳥を捨てた訳ではないが重みが虫よりなとき)のみこのセットを使うようにしています。単に歩き回りつつ虫撮りを最優先するなら「サンヨン+1.4x」が機動力も高く、最短被写体距離も短いのでお勧めです。
「エゾイトトンボ ♀」 クリックで拡大します
群馬県利根郡
1024×682 px
2023/07/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
群馬県の高原湿原で撮った ♀ です。エゾトンボの ♀ は青色型と緑色型がいるそうですが、こちらは緑色型のようです。
こちらの写真はサンヨン+1.4xで撮っています。長距離山歩き前提の観察行だったので、自然とこういう組み合わせになります。(それでもD500の重さは辛いと感じます。。)
「エゾイトトンボ ♀ その2」 クリックで拡大します
長野県松本市
1024×682 px
2023/05/26
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
もう一枚、長野県の標高1,600mくらいにある池付近で撮った ♀ です。おそらくここは本州でエゾトンボが見られる南限に近い場所だと思われます。こちらの絵では顔の感じがわかるかと思います。
この絵はTamronの150-600mmズームで撮っています。比較的安価なレンズではありますが、ゴーヨンよりは携帯性も良く、画質もやわらかで素直なきれいな絵が撮れていますので、トンボ撮りにはお勧めの一本です。
「エゾイトトンボ ペア ♀ 青色型」 クリックで拡大します
新潟県十日市市
1024×682 px
2019/05/26
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3
エゾイトトンボのペアです。この ♀ は胸の部分が水色をしているので青色型という個体だと思います。
ここは山間に緩やかな小川が流れながら湿地のようになった場所で、抽水植物が浮いているような場所です。エゾトンボはこのような場所で見ることが多いと思います。
「エゾイトトンボ ペア ♀ 緑色型」 クリックで拡大します
群馬県利根郡
1024×682 px
2023/07/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
もう一枚エゾイトトンボのペアです。こちらの ♀ は胸の部分が薄草色をしているので緑色型という個体だと思います。
やはり抽水植物が生えています。湿原はトンボ天国のような場所ですね。
私のエゾトンボの記録は4度あって、長野北部、長野中部、新潟県南部、群馬県北部で観察しています。時期は5/26~7/30日の間で観察しています。
群馬県利根郡
1024×682 px
2023/07/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
オゼイトトンボは名前の通り尾瀬のような抽水植物の生える湿地に生息する北国のトンボです。♂ は眼や胴、節が水色をしていて美しいと思います。頭に「尾瀬」の名前がありますが、長野の一部にもいるようですし、尾瀬より北の東北・北海道であれば高原だけでなく平地でも割と広く見られるようです。
ぱっと見エゾトンボととてもよく似た姿をしています。違いは ♂ の腹部第二節にある黒い模様が、ワイングラスのような形をしていることと、眼の後ろにある水色をした三角形の眼後紋が後頭条を通じて一直線につながって見えるあたりでしょうか。(エゾイトトンボ ♂ は第二節の黒い模様がスペード形で、眼後紋と後頭条の間が途切れています)あと、♂ の腹の節に見える水色ラインはエゾの方が幅広いので、全体的にオゼ(♂)の方が黒っぽく、地味に見えます。
「オゼイトトンボ ♀」 クリックで拡大します
群馬県利根郡
1024×682 px
2023/07/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
群馬県の高原湿原で撮った ♀ です。エゾトンボと同じく ♀ は青色型と緑色型がいるそうですが、こちらは青色型のようです。
雌雄の判別では ♂ に比べて青味が薄いことと、腹が全体的に太目でまっすぐに見えるあたりで見分けられると思います。写真はペア時の ♀ にフォーカスを当てたものです。
「オゼイトトンボ ペア」 クリックで拡大します
新潟県十日市市
1024×682 px
2022/06/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
オゼイトトンボのペアです。丁度他のペアが飛んできて、♂ が驚いて羽を立てている様子が見えます。
ここは先に紹介したエゾトンボを見つけた新潟の山中にある小さな湿地です。前回2019年はエゾイトトンボの記録しかなかったのに、2022年の記録はなぜか皆オゼイトトンボの記録になっていました。両者はとてもよく似ているので、22年のときは「今回もエゾ撮れてよかったな」とか喜びながら家に帰って確認したら、「これはどうもエゾと違うぞ。。」と別種だったことに驚かされた次第です。上記新潟での記録はエゾが5月末、オゼが6月後半と多少時期がずれていますが、23年7月には両方を群馬の高地で一度に見かけていますから、新潟で別々見た記録は「たまたまのことだったなのか?」なと思ったりしています。
私のオゼイトトンボの記録は6月18日~7/16日までの間に2度のみ。関東外縁北部あたりで梅雨の時期に見ています。
北海道札幌市
1024×682 px
2024/06/28
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
2024年に道北へ旅行した際の中継地、札幌市内で一泊した翌朝のことです。宿を立つ前の早朝に、カメラを持って近くの公園を散歩してみました。すると、池のほとりに非常に小さなイトトンボが見つかりました。まだ陽が登りきらない時間帯に、相手が小さくて細いものですから、目視ではなかなか困難なくらい、まるで影の揺らぎっぽいような見え具合でした。レンズを通してしっかり拡大してみると、腹の節の色目を見た感じルリイトトンボやエゾイトトンボみたいなブルー系のイトトンボです。一方で、自分の知るブルー系のイトトンボよりは、ざっと2まわりくらい小さくて華奢な印象です。
記録した絵をあとから調べてみると、このトンボは北海道のみに分布するキタイトトンボというオゼイトトンボに近い種であったことがわかりました。♂ の背中のワイングラス風の黒い模様は、確かにオゼイトトンボのそれと同じ風です。ただ目の前で見た感じ、サイズ感が全く違ったので、これをポイントとして同定させてもらうこととしました。
先にもお話しした通り、この絵はまだ夜が明けてすぐの時間帯だったので、周囲もあまり明るくなく、しかも旅行前にローパスフィルターのごみ確認で絞りを大きく絞ったのを戻し忘れていた大失敗もあって、ISO最大感度で写すみたいになってしまいました。当然ノイジーで細部は溶けたように潰れています。。そもそもよくやる設定ミスなので、もうそろそろ懲りて撮影開始前に確認しないといけないのですが、札幌まで来て初めてみるトンボに興奮していたのか、今回も全く気付かないままにたくさん記録してしまいました。残念。。今度こそは気を付けよう。。。
「キタイトトンボ ♂ 飛翔」 クリックで拡大します
北海道札幌市
1024×682 px
2024/06/28
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
キタイトトンボの飛翔絵です。
ブルー系のトンボは飛ぶと青く細い光が流れるみたいでとてもきれいです。今回露出設定を間違っていたため、その美しさをきちんと残せず残念です。またリベンジの機会はあるでしょうか。。
「キタイトトンボ ♀」 クリックで拡大します
北海道札幌市
1024×682 px
2024/06/28
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
キタイトトンボの ♀ です。ただ写真で見る限りオゼイトトンボの ♀ とそっくりさんで決定的な証拠はありません。
自分では当日たくさんのキタイトトンボ ♂ を見たと思っていて、その根拠は過去見たオゼイトトンボよりずっと小さい姿だったというだけでしかありません。
図鑑によるとキタイトトンボは27~33mm、オゼイトトンボは33~40mmとなっていて、各々の真ん中をとって30mmと37mmだとすればおよそ長さで1.2倍、面積では1.5倍近いサイズ差があります。ただ、それぞれの上限・下限はサイズ的にクロスしますし、図鑑に書かれた生息地図も札幌近郊では重なっています。
ということで、今回のキタイトトンボの同定に関しては自信のほど65%くらいな感じです。現場ではもっと自信があったのですが、家に戻って過去のオゼイトトンボの記録と見比べたら思ったよりそっくりさんで自信喪失。そんな感じです。
広島県府中市
1024×682 px
2015/06/27
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
クロイトトンボは私がもっともよくみるイトトンボの一つです。小さくて黒っぽく、さほど目立つ存在ではありません。
ところが今回あらためて過去の記録を見渡してみると、「あれ?これってクロイトトンボ?思ったよりきれいじゃん!」という姿がいくつか見つかり、少し印象が変わりました。特に ♂ は成熟すると胴のあたりまで水色になって、とてもきれいです。
「クロイトトンボ ♂ 未成熟」 クリックで拡大します
広島県福山市
1024×682 px
2014/09/07
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
クロイトトンボ ♂ の未成熟個体です。胴の部分は ♀ のように黄色をしていますが、黒色と黄色のコントラストがはっきりしていますし、腹の先が水色なのでよく見ると区別できるかと思います。
このトンボを撮ったのは9月を過ぎた時期です。図鑑によるとクロイトトンボの盛期は5月下旬~9月下旬となっていて、それを思うとシーズン初期だから未成熟で、シーズンの終わりが近づいたら老成個体と一律には考えない方が良さそうです。私などは思い込みが強いもので、よくよく観察しないと毎回「若」を「 ♀ 」だと間違えてしまいます。。反省です。
「クロイトトンボ ♀」 クリックで拡大します
広島県福山市
1024×682 px
2013/06/16
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
クロイトトンボの♀は草色をしていて目立ちませんので、♂ より見つけにくいと思います。この個体はやや若い個体ではないかと思います。
「クロイトトンボ ♀ その2」 クリックで拡大します
広島県福山市
1024×682 px
2013/06/08
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s
こちらは正面方向から見たクロイトトンボの♀です。
「クロイトトンボ ペア」 クリックで拡大します
長野県下高井郡
1024×682 px
2023/07/15
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
クロイトトンボのペアです。長野県の高原での記録です。
こちらの ♀ 個体は胴がやや水色になっています。福山では水色個体を見たことがありませんでしたが、やはり場所が違うと色々なバリエーションが見られて面白いですね。
私の黒イトトンボの記録は5月5日~9/7日までの間に19回ありました。うち12回は福山のホームグラウンドでの記録で、特にここでは初夏の頃に行くと池の周りで大抵見つけることができる、という雰囲気がありました。関東に来てからも平地から高原まで、主に池の周りで見ています。
広島県三次市
1024×682 px
2014/06/01
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
広島の山の中にある湿地で見つけた水色のイトトンボです。
私のセスジイトトンボの観察はこの一度だけです。図鑑によると九州から北海道まで広く分布しているようで、どちらかというと平地から山の麓程度のあたりに多いようです。
神奈川県相模原市
1024×682 px
2023/10/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
里山の谷戸にある水辺に秋のトンボを探しに行ったところ、足元にかすかな揺らぎを感じました。あらためて目を凝らすと、枯草色をしたかなり細いイトトンボが見つかりました。おそらく初めてみるトンボのようす。自分の知識の中では「オツネントンボの越冬前の姿かな?」と思って色々な方向から姿を記録しておきました。
家に戻って図鑑と照らし合わせた結果、予想していたオツネントンボ、ホソミオツネントンボのどちらとも特徴が合いません。しかたなく図鑑を前から順に捲っていったところ、イトトンボ科にホソミイトトンボという越冬するトンボがいて、撮った写真と姿が合うことがわかりました。「枯草色の色目からして越冬タイプ?」という当初の予想は合っていましたので、自分的には一応合格ラインの予想結果でした。ただ、地味な色をしたトンボというものには普段からあまり目が向いていないため、中々同定に至らないということも認識できたので、このへんは改善ですね。。早く「地味さ」も楽しめる境地に至らなければ。。
「ホソミイトトンボ ♂ カモフラ」 クリックで拡大します
神奈川県相模原市
1024×682 px
2023/10/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
このトンボは初夏に生まれて夏に産卵する第一陣と、秋に生まれて冬を越して翌年春に産卵する第二陣の二世代で一年を回して過ごすのだそうです。国内に越冬するトンボはオツネントンボ、ホソミオツネントンボ、そしてホソミイトトンボの3種がいて、秋型(越冬型)はいずれも枯草色をしています。越冬時は木の枝に張り付くようにカモフラージュして身を守っているようです。私が見つけたのも草ではなく枯れた色をした枝に止まったところでした。確かに飛んできて止まるところから観察していなかったら見つけるのは難しかっただろうなと思います。
「ホソミイトトンボ ♂ 背面」 クリックで拡大します
神奈川県相模原市
600×400 px
2023/10/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
ホソミイトトンボの特徴として左右の後眼紋が真ん中でつながって一直線に見えることがあります。ここも同定のポイントになりました。また♂は腹先端の付属器が短くハの字状に広がっているのも同定に役立ちます。最近はなるべく色々な方向から色々な部分を撮るように心がけているので、初めて見つける種でも後の同定が楽になりました。(今更ながら少し勉強しました。。)
長野県下高井郡
1024×682 px
2023/07/15
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
ルリイトトンボはイトトンボの中でもっとも青く染まった種です。特に飛ぶと小さな青い軌跡が走るので、うっとりしてしまいます。ただし青いのは毎度のごとく ♂ のみです。
私の記録は皆1,400m以上の高地でのものです。
「ルリイトトンボ ♂ 2」 クリックで拡大します
長野県南佐久郡
1024×682 px
2018/08/04
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
こちらは標高2,100mの高地で撮ったルリイトトンボ。さすがに池の水も透明度が非常に高く、青いトンボがますます綺麗に光ります。2匹写っているのはいずれも ♂ です。今回過去記録を見直してみたのですが、なぜか ♀ の記録は一枚もありませんでした。どうしても青色が目立ってカメラを向けるためか、中々 ♀ を見る機会に恵まれません。
「ルリイトトンボ ♂ 3」 クリックで拡大します
長野県松本市
1024×682 px
2024/08/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
こちらは長野の別の高地で撮ったルリイトトンボです。顔回りも見えるので追加してみました。
今回も ♀ は見る機会に恵まれませんでした。図鑑によると本州のルリイトトンボは ♀ が単独で水中に潜って産卵するのだとか。その間 ♂ は上空でパトロールしているとのことで、確かに多くの ♂ が水面を舐めるように飛んでいました。もし今回が産卵の時期だったのなら、♀ と出会うのは難しかったのかもしれませんね。次はもう少し早い時期に来て ♀ を探してみようと思います。
「ルリイトトンボ 飛翔」 クリックで拡大します
長野県南佐久郡
1024×682 px
2018/08/04
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
一つ上の写真と同じ高地で撮ったルリイトトンボの飛翔絵です。一緒に写っているのはオオルリボシヤンマの ♂ で、どちらかというとこっちにフォーカスは当たっていますが、逆に絵が滲んだ分、ルリイトトンボの輝きが強調された感じにも見えるので、「まあいいか」とこちらに貼らせてもらいました。
私のルリイトトンボの記録は7月15日~8/04日までの間で4度あります。図鑑で見ても梅雨入り後~8月一杯くらいが活動の旬のようです。先にもお話ししたとおり、本州中部ではかなりの高地でしか見られません。図鑑で見ても繁殖地は点々と飛び地になっています。東北以北でも産地は限られていて、かなり寒冷地が好きなトンボのようです。
広島県三次市
1024×682 px
2015/09/23
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
図鑑によると、胴の部分が赤色をしたアジアイトトンボ ♀ は未成熟体なのだそうです。成熟すると緑になるのだとか。しかしこの個体は赤いままで連結しています。おませさんなのでしょうか。
それと、アジアイトトンボの(下に見える) ♀ は (上に見える) ♂ と違って肩の黒色条(方の黒い線)がありません。写真で見られる通り、 ♂ は背中に黒色の線が3本あるのに対し、♀ は中央の1本だけです。よく似たアオモンイトトンボは♀も3本の筋があるそうなので、このイトトンボはアジアイトトンボだと同定した次第です。
この記録は広島県の山中の湿地帯でのものです。私は秋に一度の記録しかありませんが、春から晩秋まで長い間見られるそうです。
イトトンボと出会うには池や川の畔で、路に草木が垂れてきているような場所を、ズボンのすそが汚れるのを気にせずに、ゆっくり歩くのが一番のポイントだと思います。少し草木や道が濡れていて、靴先が濡れるくらいが観察チャンスだと思います。そうやって歩いていると、隠れていたトンボたちは驚いて私たちの目の前に出てきてくれます。イトトンボはテリトリーが小さく、飛翔力も強くないので、一度見つけたら眼で追って再び草木に止まるまでじっと待ちましょう。一度草木に止まったら、再び驚かさない限りは少々近づいても逃げることはありません。非常にフレンドリーなトンボだと思います。
2023/8 魚屋 拝
(TOP画像 ルリイトトンボ 2023/07/16 D500 300mm/F4.0 +1.4x 群馬県利根郡)