クイナ 水鶏
Kuina
Rallus aquaticus
Water rail

クイナ ツル目 クイナ科
 葦原の茂みに潜む茶色いクイナ

   

笠岡市笠岡干拓、横浜市での観察


クイナについて、動画の紹介
 日本で見られる「**クイナ」と名がつく種は数種います。中でもこの「クイナ」は頭に何もつかない素の「クイナ」なので、昔の日本ではもっとも普通に見られたクイナ類だったのかと思います。しかし今はこのクイナを含めてどの「クイナ」も、普通に暮らしていてはまず見られません。同じクイナ科でも「クイナ」の名がつかないバンやオオバンは池や川、海辺などで比較的多く見かけられますが、クイナとは顔形もかなり違っていて、昔の人は同じ仲間だと思わなかったのではないでしょうか。
 以前福山に住んでいたころ、笠岡干拓で冬の早朝に観察すればクイナやヒクイナが見られると教えてもらい、寒空の下我慢してやっとのことで記録に残すことができました。元来我慢が足りない私は、じっと待って鳥見をする習慣がありませんでしたが、出待ちして鳥を見つける喜びを知ったのはこのときが初めてだったと思います。ただそれに味を占めてまたクイナ観察をしたかというと、以後はやはり寒さに負けて本気のクイナ観察は7年間の間が空いてしまいました。
 クイナは長いくちばしの朱色と、黒茶、白黒の波模様が地味ながらも美しい中型サイズの鳥です。臆病な性質のため普段は芦原の茂みに隠れていて、外に出てくるのは日の出日暮れや夜です。日本国内でも中部より北側地域なら夏でも見られることがあるようですが、関東より西では冬鳥のため前述のように観察するには寒さとの闘いとなります。

 動画を置いておきます。動画の前半はその早朝の笠岡干拓で撮ったもの。後半は横浜市内の里山公園で夕方に撮ったものです。サイズは31MBありますのでDL環境にご注意ください。


泥んこのクイナ

 横浜の里山公園で撮った絵です。場所が湿地なので餌を探したこの鳥はくちばしが泥だらけで真っ黒になっています。観察していると、どうやら芦原でイネ科植物の根かなにかを食べていたように見えました。くちばしの形状からして、クイナは水辺の動物食なのだろうと思っていましたが、結構雑食性なのだとのこと。田んぼでエサ取りしているマガンやハクチョウなどを撮ると、このようにくちばしが泥まみれで、せっかく全身をきれいに撮れているのにお口だけはお茶目な様相になってしまいます。ですので、これらの鳥をきれいに撮りたいときはやはり水辺で狙うのが吉です。

 左「クイナ 横浜市の里山公園にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:岡山県笠岡干拓の川辺3、関東の里山公園2にて。都合5回。葦の生え茂る水辺、湿地で見かけます。日中は葦の繁みの中に隠れているので、なかなか出会うチャンスがありません。朝早くや夕方近くにそれらしい場所で待ってみるのが良いと思います。クイナはだめでもヒクイナが出る可能性もあるので粘ってみましょう。

観察月と回数:
1月3 〇〇〇
2月2 〇〇
3月0
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
都合5回
関東以西の平地では冬鳥です。クイナが出現しやすい冬場の朝夕はとても冷えますので、寒さ対策を十分に観察に出かけましょう。



 (トップ画像 クイナ 2014/01/25 V1 300mm/F4+1.4× 笠岡市笠岡干拓周辺にて撮影)

 初出:2021/02/14