Japanese Wild Birds. report from Yokohama, Fukuyama city.
日本の野鳥 索引 「あ~い」
Japanese Wild Birds
The initial of a Japanese name "a-i"
各メニューでは始まりの頭文字に合わせて野鳥観察に関するトピックをお話しします。
芦田川で見られる野鳥
芦田川は広島県の東部を流れる一級河川です。源流は福山市のずっと北にある世羅郡にあります。しかし世羅町と府中市の境にある八田原ダムで一度各支流が合流しているため、下流にある福山市民からすればダムのすぐ下にある府中市河佐峡が芦田川の起点だと考えて良いのかもしれません。
仮に芦田川の基点を河佐峡とし考えた場合、河佐峡から府中市市街地までを上流部、府中市市街地から国道2号線あたりまでを中流部、国道2号線から河口堰までを下流部と大まかに区分けすることができます。
最上流部ではオオルリやヤマセミ、カワガラスなど渓流域に棲む鳥達の姿が見られます。ただ、本当に山深い渓流には及ばない環境なので、似たシチュエーションを望むなら福山市の山野峡へ出かける方が、景色や広さ、見られる鳥の種類の豊富さを考えてもより魅力的な気がします。
中流部では流れも緩やかな川面となり、カモ類の他、芦原に棲む多種の小鳥達を見ることができます。例を挙げるとオカヨシガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、マガモなどのカモ類、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、メジロ、アオジ、オオジュリン、ホオジロ、アトリ、シメ、モズ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイなどの小鳥が見られます。また中州ではキジやノスリなどの姿も見られます。
私の住む芦田町もこの芦田川中流部近くにあります。
川の終点である河口堰の内外ではカモ類、カイツブリ類の他、カモメ類やウミアイサなど海鳥の姿も見られます。これらの姿はやはり冬の方がにぎやかになります。
芦田川は残念ながら、美しい透明度を誇る川ではありません。しかし、地域の環境に対する意識の高まりもあって、少しずつではありますが、生き物達の棲息に優しい環境を取り戻しつつあります。いつの日か「清流・芦田川」と呼べる時が来るように、私も地域住民として努力し、川を見守って行きたいと思います。
伊豆沼とガンの仲間
伊豆沼は宮城県の北西部に位置する深さの浅い湖です。冬には10万羽を越えるマガンや多数のオオハクチョウが飛来することで有名な場所です。
横浜に引っ越して来てから、マガンやオオハクチョウのような大型のガンカモ類を観察するには、日本海側の地域か東北地方の湖に出かけなければならなくなりました。どちらにしろ泊まりがけの遠征となります。飛来する鳥の数や、冬の積雪量の少なさ、つまり車ででかける条件が較的良いことを考えると、伊豆沼が一番の候補となりました。ただそこまでの距離はおよそ450kmありますので、「ちょっと行ってくるわ」的に簡単に行ける距離ではありません。数か月前から予約等の準備をするようにして、2016年11月末を皮切りに、毎年11月下旬から12月初旬の土日に伊豆沼交流センターに宿を取り、妻と二人で一泊二日の小旅行の行程で出かけています。
ここ2年ほどの行程で言いますと、夜中2時頃には家を出て、常磐道経由で6:30頃石巻漁港へ。早朝から店が開く漁港の食堂で美味しいお魚の朝食をいただきまます。その後は下道でゆっくりと北上し、途中の道に沿った田畑でガン類を探しつつ、もう一つの本命観察所である蕪栗沼へ向かいます。ここでヒシクイをはじめとする水鳥達、猛禽類の観察をしたあと、お昼になると近くある南方の道の駅で地元食材のバイキングをいただくのがパターンになっています。昼ご飯のあとは伊豆沼へ向かい、道すがらでマガンの群れに潜む希少種を探します。夕方宿に着きますと、日暮れに湖に帰ってくるマガンの落雁風景を眺めて鳥の観察は終了。ご飯をいただいたあとは翌朝のマガンの飛び立ちに備えてさっさと就寝となります。
伊豆沼交流センターは伊豆沼の湖畔から少し高台にあって、もしも湖側に面した部屋が取れれば、伊豆沼に降りなくても夕方の落雁や朝の飛び立ちなどを部屋から観察することができます。実際、2018年の場合は夜から雨雪模様になったため、夕方・朝の観察は宿の窓からとなりました。ただ、特に朝の飛び立ちに関しては、宿から1kmほど離れた湖の西側端に出た方が正面に朝日を望む形になり大変美しい光景を堪能できるので、天候の許す限りはこちらをおすすめします。(早朝に湖畔に立つと、もの凄く冷えるので、観察には真冬の装備が必要です)
私はここを拠点に2016年~2018年まで3回伊豆沼・蕪栗沼に通い、ガンの仲間としてはマガン、ヒシクイ、シジュウカラガン、ハクガン、までは記録できました。他に、マガンの仲間ではありませんが、オオハクチョウ、ヘラサギ、チュウヒ、オジロワシなどの普段なかなか見られない鳥にも出会っています。しかし未だカリガネだけは出会えていません。もしかしたら、遭っていたのに「ウォーリーを探せ」に失敗しているだけなのかも。またハクガンも証拠写真レベルしか撮れていません。もちろん2019年も出かけるつもりです。一年の苦しいお仕事の毎日も、この2日の楽しみのためなら我慢できる。私の中ではそれくらいに楽しい伊豆沼のガン類観察であります。2019年も行くぞ。
(トップ画像 アオバズク 2019/07/28 八王子市の神社にて撮影)
初出:2014
改訂:2019/6/2 「伊豆沼とガンの仲間」の項を追加
改訂:2019/8/6 トップ画像をアマサギからアオバズクに差し替え
改訂 2021/07/11 主な記録場所、レッドリスト記号を追加