Sakanaya's Graphic Works 福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in Fukuyama
Japanese Wild Birds in Fukuyama
アオバト 緑鳩
Aobato
Treron sieboldii
White-bellied green-pigeon
アオバト ハト目ハト科
”オーアーオー”と鳴く緑(あお)いハト
”オーアーオー”と鳴く緑(あお)いハト
キジバトについて
深山へ鳥見にいくと、ときどき遠くから「オーアーオー!」という太い声が聞こえてくることがあります。「アオ」となくからアオバト。。と名づけられたわけではありませんが、この声を聞くと近くにアオバトがいるとすぐにわかります。ただ声が聞こえたからと言ってアオバトの姿を見られることはまずありません。
国内では町でカワラバト、少し自然の残る地域になればキジバトが普通に見られ、ハトは最も身近な野鳥です。しかしアオバトは特に希少種指定でもないものの、観察するのがとても難しい部類の野鳥です。私の撮影記録も片手で足りる数しかありません。キジバトたちと比べれば「同じハトなのになんでこんなにシャイなの?」というほど、私たちの前には姿を見せてくれない存在です。
一方神奈川では、海水を飲むだけの理由で、アオバトが湘南の海岸へ山から遠路はるばる飛んで来るという有名な場所があります。私も以前一度だけその場所へ行きました。現場で観察してみたところ、アオバトたちは集団で飛んできて、周囲をぐるっと一周したあと海岸の岩場に降りたちます。ところが「おお、本当に海水を飲んだぞ!」と思った一瞬のち、彼らはすぐに飛び立って速攻で山へ戻っていきました。その後も一度にやってくる群れはそれぞれ10数羽程度でしょうか。これらが次々とやって来ては、すぐにまた飛んで戻るという、非常に慌ただしい景色が繰り返されました。
アオバトは山では得られない塩分補給のために、一口の海水のためだけでわざわざ遠くからやってくるそうです。しかし海岸では姿を隠す場所がない無防備な状態になるので、用が済んだら最短の滞在時間でさっさと戻っていくようでした。実際ここの場でハヤブサに待ち伏せされて命を落とすアオバトも多いのだとか。しかしお仲間のカワラバトなんかはまるっきり無防備でその辺の道端を歩いていたりするので、「アオバトももう少し落ち着いたらいいのに」と思ったりもします。なんにしろ面白い鳥です。
「福山のアオバト ♀、♂」 クリックで拡大します。


広島県福山市
1024x682 px
2014/01/25
♀ Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s
♂ Nikon V1 MovieMode S
Nion AiAF ED 300mm/F4s
一枚目は ♀ と思われる個体です。アオバトの雌雄は肩羽周りが ♀ 緑、♂ 紫となるのでそこで見分けます。こと絵は少しわかりにくいですが、連続した他の絵で見ても緑色をしていたので、♀ だろうと思われます。
二枚目は同じ場所でカメラを変えて動画を撮ったときの切り出し静止画です。
こちらは肩が紫色をしているので ♂ 君ですね。
どちらの絵も古い機材で撮った絵なので、画質はいまいちですが、これが初めて見たアオバトだったので自分としては思い出深い絵です。ちなみに出会いは突然で、いつも歩きなれた公園で角を曲がったところでいきなり出会い、あたふたと撮影してなんとか記録できました。しかし、5年以上通ったその場所でアオバトを見たのはこの一度きりでした。
「山のアオバト 群れ」 クリックで拡大します。

広島県福山市
1024x682 px
2015/02/11
Nikon D7100 Movie Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
こちらは同じ福山でも中国山地の入り口に近い深山で撮ったアオバトの群れです。この群れの中には12羽ほどの姿が確認できます。神奈川の海岸で見た群れも10羽前後くらいの小群れが多かったように思いますが、これくらいの数ってファミリーな一団なのでしょうか。
「富士山の夏のアオバト」 クリックで拡大します。



静岡県裾野市
1024x682 px
2024/07/19
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
避暑を兼ねて富士の水場で鳥見をしていたところ、遥か頭上に大きな鳥の影が見えました。レンズで見上げたところ、思いもよらぬアオバトの姿がありました。肩羽が明るいブドウ色をしていて、ビジュアルの良い ♂ 君です。
距離があるので、向こうもこちらに気づいておらず、落ち着いた気持ちでじっくり慎重にマニュアルフォーカスで合わせ込みし、絵を撮ることができました。。
一枚目はトリミングなしで1024pixにサイズを下げたもの。二枚目はモニター上倍率を33%くらいにして表示させながら、モニター上で1024pixに近い画角(見た目ざっとですが)にトリミングしてからあらためてぴったり1024pixにリサイズしたもの。三枚目は66%くらいにして同様にトリミングしたものです。きちんとフォーカスが合っていれば66%程度にまで拡大トリミングしても、絵のシャープさにあまり違和感がないですね。ちなみに種明かししますと、私がこのWebで紹介している絵は、トリミング(ほぼ)なしのものから大きく拡大して切り取ったものまで特に決めごとなしに作っていますが、平均するとおよそ25~33%くらいの拡大率でトリミングしているものが多いです。100%まで拡大してトリミングすると、さすがに絵として(特に背景が)荒くなるのでまずやりません。また自分のオリジナルは守りたい気持ちがあって、公開しているものに完全ノートリミングなものはありません。ほぼノートリミングではあっても、わずかながらもオリジナルから見た目を変えてあります。
「海辺のアオバト」 クリックで拡大します。


神奈川県中郡
1024x682 px
2016/05/21
Nikon D7100 Movie Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
神奈川の海岸に海水を飲みに現れるアオバトを撮りに出かけました。どこかで季節は初夏が良いように書かれていたと思い、まだ暑くならない5月後半の早朝に出かけてみました。ちなみに、こちらの記録を見ると早朝 6:13 に記録していました。
二枚目は肩にブドウ色が見えない ♀ の個体です。天気が良い日ではありましたが、まだ陽の角度が浅かったこともあって、アオバトの淡い緑の羽根色も白飛びせずに済んだのかなと思います。やはり鳥見は早起きして出かけるのがよいですね。
「アオバト 飛翔」 クリックで拡大します。

神奈川県中郡
1024x682 px
2016/05/21
Nikon D7100 Movie Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
飛んできたアオバトが岩場に降りるところです。
飛んでいるのを見上げると、あまり緑色も目立ちません。しかしカワラバトよりは少し小柄ですし、羽ばたきもカワラバトほどは大きくない感じなので、少し飛んでくるところを見ていると、すぐに「これはアオバトだ」とわかるようになります。
「アオバトの羽根」 クリックで拡大します。

広島県福山市
1024x682 px
2015/02/11 拾得
Nikon D200 Mode A
Nion DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED
福山市の深山で群れを見たとき、すぐ頭上にもアオバトがいるのに気づきました。近くにいるのに、木が邪魔で全くシャッターを切れず。「残念」と道を進んでいる最中、ふと頭の中に「あれだけアオバトの群れが道の上にいたのだから、もしかしたら地面に少しくらいは羽根が落ちているかも!」と思いが浮かび、帰り道で足元を見てみることとしました。
すると道の横に「少し落ちている」どころではない、羽根の散乱が。。「タカにやられてるじゃん」
こうして相当数のアオバトの羽根を一気にゲットすることができました。この写真以外にもたくさん拾いましたがきりがないので、代表的なものだけ写しています。
左上から胸の羽毛、その次は雨覆い、緑の長いのは中央尾羽、一番右下が下尾筒です。写真では表現が難しいですが、アオバトの羽根は光の反射具合で渋い緑色が浮かび出て、とても上品で美しいです。
観察データ
場所と回数:福山市 2、富士山周辺 1、神奈川県の相模湾 1、計4回。前述の海岸に行けば高確率で出会えると思いますし、鳴き声だけなら、山の中や高原などでかなりの回数聞いますので、めちゃくちゃレアという感じではありません。ただ山で姿をしっかりと捉えるにはかなりの運が必要だという印象です。
観察月と回数:
1月1 〇
2月1 〇
3月0
4月0
5月1 〇
6月0
7月1 〇
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
計4回
留鳥です。私自身出会いの回数が少ないので、いつが良いのかという判断はできませんが、声を聞くのは春から夏が多いような気がします。ただ声を聞いて姿を発見するに至ったことは一度もありません。
(トップ画像 アオバト 2016/05/21 D7100 150-600mm Zoom f5.6-6.3 神奈川県)
初出:2015/02/15
改訂:2016/05/21 神奈川のアオバト観察を追加
改訂:2018/08/12 観察データを追加
全面改訂:2025/05/13 全面書き直し