イワヒバリ 岩雲雀
Iwahibari
Prunella collaris
Alpine accentor

イワヒバリ スズメ目イワヒバリ科
  高山の岩が大好きな
  人懐っこい小鳥

   

木曾駒ヶ岳、滋賀県伊吹山での観察について


イワヒバリとの出会い、動画の紹介

 2018年夏、妻と三男と三人で木曾駒ヶ岳に登りました。ロープウェイで2,600m地点まで上がり、そこから300mほど山登りです。私はせっかくの高山なのでイワヒバリを撮ろうとD500にTamron A011とマンフロットの軽い3way三脚などを持って登りました。ただこれはかなりきつかった。息が上がった。。しかし中途半端な機材よりははるかに安心感があるので、車から離れた撮影には毎度このセットを選ばざるを得ません。というか、私的にはA011は合焦スピード以外、特に写りに関してはゴーヨンと比べてもさほど変わらない印象があります。お値段1/10の割にはコストパフォーマンスのとても高いレンズだと思います。(本当は新しいサンヨンが欲しいけど。A011の魅力も捨てがたくて買うに至りません。今はA022かな)
 枕はこの辺りまでとして、本題に入りましょう。イワヒバリの英語名は"Alpine accentor"「アルペンのアクセンター(イワヒバリ)」という名前です。分布も欧州の本場アルプスから中国のチベットなど大陸の本気の高山にいるとのこと。従って日本の山では少々物足りないのかもしれません。日本でイワヒバリ科に属する鳥は有名どころではこの本家「イワヒバリ」の他にカヤクグリがいます。こちらも高い山が好きな小鳥です。そのカヤクグリの英語名は"Japanese accentor"「日本のイワヒバリ」であり、こちらは数少ない日本の固有種となります。どちらも高い山が好きな小鳥ですし、よく見ると目の色目(濃い赤茶色)など顔つきがとてもよく似ています。カヤクグリは冬場に200~300m級のかなり低い山にも降りてきて、私も福山市内や宮ケ瀬あたりで観察したことがありますが、イワヒバリは今のところ近場の山でみたことがありません。夏場は森林限界以上の山で繁殖するので、本格的な棲息環境で観察するなら岐阜県、長野県、静岡県あたりの2,500m超の高山に登らなければなりません。
 で、最初の話に戻りますと、木曾駒ヶ岳はロープウェイ到着駅の位置が既に森林限界を越えた位置のため、イワヒバリを観察するには絶好の場所となります。ただ、私が見た限りは、ロープウェイ近くの千畳敷カール辺りでは見られず、もう少し山を登ったあたりで徐々にみかけるようになり、2,900mの頂上付近の岩場ではしっかりとイワヒバリを観察することができました。ちなみに息子などは足元に来たのをiphoneで撮っていました。。。一方、私は見つけはしても、なかなか良い撮影チャンスに恵まれなかった。。。
 それから一年と少し経ち、今回は夫婦のみで秋の伊吹山に登りました。もの凄く良い天気の一日だったのに、狙いのイヌワシはとうとう現れず。。。代わりに足元の岩場に来たイワヒバリに遊んでもらいました。イヌワシはボウズで終わりましたが、今回はイワヒバリをじっくり観察でき、しっかり絵も撮れたので良しとしましょう。イヌワシはまた来年だ。

 動画を置いておきます。全て伊吹山での記録です。後半二羽のイワヒバリが見えますが、イワヒバリは雌雄同色なのでおそらくカップルさんでしょう。どっちが♂でどっちが♀かは不明です。。。ちなみに「*ヒバリ」と名が付くくらいなので、イワヒバリはよく通る美声を持つそうです。今回は鳴き声はなしなので、さえずり紹介はまた次の課題ですね。
  左「イワヒバリの動画 伊吹山周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。ファイルサイズは23MBありますのでDL環境にご注意ください。


イワヒバリその1、その2

 2019年11月に伊吹山で撮ったイワヒバリです。一枚目はD200とTamronA011の組み合わせで、手持ちで撮った絵。二枚目はD500とゴーヨン+1.4xテレコンで三脚にセットして撮った絵です。D200を引っ張り出したのは何年ぶりでしょうか。当日晴天の予報があったので、晴天下できれいな色が出るD200を手持ち用で持って行ったところ、対象がイヌワシでなく、イワヒバリ相手で活躍することとなりました。。。2枚を見比べると明らかに色目が違います。他のページでも書いていますが、D200の方はCCD機らしい濃い色目ですね。ピントが少し背中寄りなのは御愛嬌。。

 伊吹山までは往復3,000円少しの有料ドライブウェイで登ります。終点の駐車場は高さ1,260mの位置にあります。高さ的には亜高山となります。このドライブウェイは11月末から翌春までは雪で閉鎖となりますので、今回11月に入ったところで、「今年最後のチャンスだ!」とイヌワシ観察に出かけました。結果、風が全く吹かなかったせいか見事に振られてしまいました。残念。。ドライブウェイの道沿いでは同じ目的の大砲軍団が100人超はいたでしょうか。白樺峠といい、この伊吹山といい猛禽相手はやはり大砲持参者が圧倒的に多いですね。ただ当日は私だけでなく、皆さんが大砲でイワヒバリやアトリの群れを撮って暇つぶしをしてらっしゃいました。それもまたよし。来年また頑張ろう。

 左「イワヒバリその1、その2 滋賀県伊吹山周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。




観察データ

場所と回数:木曾駒ヶ岳1、伊吹山1、都合2回

観察月と回数:
 1月0
 2月0
 3月0
 4月0
 5月0
 6月0
 7月1 〇
 8月0
 9月0
10月0
11月1 〇
12月0
夏は高山で繁殖し、秋冬は低山に移動。私は実際中国地方や中部・関東の冬の低山では見たことがないので、東北、北陸など緯度が高くて寒さが厳しい地域、もしくは中部でも亜高山(500~1,500m程度の山)などにいるのかと予想しています。実際冬場は群馬の妙義山のような1,000m程度の岩場にいるようなので、横浜近辺の低山ではまず見られないようです。また基本的に中部以北にいるようなので、高山から降りてくる冬場であっても西日本では観察が難しいようですね。伊吹山や奈良・三重の山あたりが観察できる境目のようです。




 トップ絵はこのページでは唯一の木曾駒ヶ岳で撮った絵です。場所は千畳敷カールから八丁坂を登り切った2,900mに近い山の頂上付近です。ただ二度と5kgのカメラレンズ三脚その他を担いで高山を登りたいとは思いませんね。。。
 (トップ画像 イワヒバリ 2018/7/30 D500 150-600mm/F5.6-6.3 木曾駒ヶ岳周辺にて撮影 )

 初出:2019/11/04