インドハッカ 印度八哥
Indohakka
Acridotheres tristis
Common myna

インドハッカ スズメ目ムクドリ科
 目の周りと足が黄色い
 南国のムクドリ


インドハッカについて



 インドハッカは元々が中東から東南アジアにかけて広い地域で見られるムクドリの仲間です。また、世界中に移入種として広がっている「最悪レベルの外来種」としても有名な鳥です。特にオーストラリアなどでは農作物を荒らす外来巣としてかなり問題視されているそうです。
 サイズ的にはムクドリを少し大きくしたような感じで、町中でもよく目立ちます。私はタイで初見となったのですが、飛行場の税関を通ってすぐのバス乗り場に出た瞬間、歩道の手すりに止まっているインドハッカに出迎えを受けました。東南アジアではそれくらいにもっともポピュラーな鳥だと思います。見た目としては目の周りの裸出部とクチバシが鮮やかな黄色をしているため、他の鳥と見間違うことはまずありません。

 移入種としての問題は国内でも発生しており、八重山諸島あたりの島では既に定着しつつあるようです。実際に私も現地の牛舎近くで何度か見ることがありました。こちらは台湾島からの移動組なので、見方によれば自然分布と考えられるところですが、台湾での存在がそもそも移入種としての定着であったため、国内に入ってきたものは2次的な移入種と言えます。とりあえずはこれ以上北上せずにいて欲しいところです。
 ちなみに本州、九州などでもときおり観察記録があるようですが、大きな広がりにはなっていないようですので、冬場の寒さに適応できていないのでしょうか。ただ昨今の温暖化ですから油断はならず、篭脱けなどが起きないようにしていただきたいものです。

 ムクドリ類の多くは英語名でMynasと呼ばれる一群とStarlingsと呼ばれる一群に分かれています。このインドハッカは英名Common Mynaの通り、Mynasの親玉格の鳥で、この仲間にはハッカチョウや九官鳥などおしゃべりな鳥が多いです。ただ属レベルの系統分けはDNA解析などによって時代と共に変わってきているため、英語名の末尾にMynaやStarlingなどが付けられていても、最新の学名や属レベルでは一致していないことがよくあって注意が必要です。
 (英語名や日本名は基本的にずっと変わりませんが、学名は新たに判明した系統立てによって変わることがあります。「イソヒヨドリの名前があってもヒヨドリ科でなく実際はツグミ科である。と分かっていても、日本名はもう周知で固定されていて今更変わらない」みたいな感じです)



「タイのインドハッカ ♂ 」 クリックで拡大します。

タイのインドハッカ ♂ 1

タイのインドハッカ ♂ 2


タイ・バンコク
1024x682 px
1:2016/08/01、2:2019/07/10
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6


 1枚目はタイのルンピニー公園にて。公園を少し歩いたら必ずどこかで見かけるくらいに存在が濃かったです。
 2枚目はタイの通りの街路樹で撮ったものです。南国ですから街路樹の樹木もかなり生い茂った感じで、通りを歩きながら色んな鳥を見ることができました。インドハッカは雌雄同色なので、こちらはペアかもしれません。




「ハワイのインドハッカ ♂ 」 クリックで拡大します。

ハワイのインドハッカ ♂


ハワイ・オアフ島
1024x682 px
2019/04/16
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 オアフではインドハッカは外来種で、農作物を荒らす害鳥とされています。ただオアフでは完全に定着していて、街中の通りや公園などどこででも見られる感じでした。
 見た目はタイのものと同じだと思います。




「八重山諸島のインドハッカ」 クリックで拡大します。

八重山諸島のインドハッカ


沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/16
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x


 八重山諸島では牛や水牛が多く飼われていて、この辺りには餌となる虫が多いのかアマサギをはじめとした鳥達が集まります。左側のアマサギの足元に見えるのがインドハッカです。倍ほどあるアマサギが真横にいても、全く動じない図太さが頼もしい感じですね。




「インドハッカ 飛翔」 クリックで拡大します。

インドハッカ 飛翔


沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/16
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x


 インドハッカは飛ぶと翼の白斑や尾羽の白帯が目立って思ったよりきれいな印象です。





観察データ

場所と回数:タイ4、オアフ3、八重山諸島2、計9回。中東から中央アジア、東南アジアまでで普通に見られるとのこと。世界中の前述以外の場所でも多くの地域で外来種として定着が認められていて、世界的な侵略的外来種とされています。国内(八重山諸島)への侵入自体は自然移動だったようですが、やって来た先の台湾では外来種でしたので、2次的な外来種と考えられています。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月2 〇〇
4月3 〇〇〇
5月0
6月0
7月2 〇〇
8月2 〇〇
9月0
10月0
11月0
12月0
計9回
 各国で留鳥です。



 (トップ画像 インドハッカ 2019/04/16 ハワイ・オアフ島 150-600mm/F5.6-6.3)

 初出:2025/08/16