チョウゲンボウ 長元坊
Chougenbou
Falco tinnunculus
Common Kestrel

チョウゲンボウ ハヤブサ目ヤハブサ科
 畑の上空でホバリングしていることが多い
 電線好きな猛禽類


チョウゲンボウについて

 福山に住んでいたころ、隣町の岡山県笠岡市の干拓地へよく鳥見に出かけました。干拓地には広い畑と酪農地があるのが常で、このような場所には大小合わせた鳥や小型の哺乳類(主にネズミの仲間)が多く生息しています。これらを狙って冬場に猛禽類が集まるので、猛禽好きなバーダーには人気の観察地となります。チョウゲンボウも冬にこうした農耕地でよく見かける猛禽類です。

 チョウゲンボウは猛禽類ですが、タカ目ではなくハヤブサ目に属する鳥です。一昔前まではタカと同じタカ目に分類されていたので、「タカの一種」として認識されていました。しかしDNA解析が進んだ現在ではタカよりオウムに近い仲間であることがわかり、タカの仲間からは外れてしまいました。私の図鑑でも2008年のものではタカ目、2014年発行のものではハヤブサ目に分類されています。

 チョウゲンボウはハヤブサよりかなり小型で、タカで言えばハイタカサイズです。なので狩りをする獲物も小型のネズミや小鳥狙いが多いようです。これらの獲物を探すために、農地の上空でよくホバリングをしています。それ以外では電柱や電線が好きなようで、畑沿いに道路を車で走らせていると頭の上に止まっているのをよく見かけます。(絵にならないので「またかよ。。」みたいな感じで通り過ぎていまうのが毎度のパターンです)なぜか木に止まっているところをあまり見かけないため、カメラに収めることはできても中々絵にならない鳥ですね。そんな理由もあって、私が初めてこの鳥を記録した日から今回チョウゲンボウの個別紹介ページを作るに至っては12年もの年月が経ってしまいました。もっともそれでも未だに大した絵は残せておりません。悪しからず。。




「チョウゲンボウの飛翔 ♀」 クリックで拡大します。

チョウゲンボウの飛翔 ♀

滋賀県
1024x682 px
2019/11/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
FL ED VR + AF-S TC-14E III TC14E3

 山の上で鳥見をしていてたまたま通りがかってくれたチョウゲンボウ。色目からすると ♀ もしくは若鳥かと思われます。ちなみに私のチョウゲンボウの記録として、山の上で見た記録は2/15。あとは全て平地での記録です。



「チョウゲンボウ ♂ 木の上」 クリックで拡大します。

チョウゲンボウ ♂ 木の上

沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/14
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x

 珍しく木の上に止まるチョウゲンボウを撮ることができました。灰色の頭をしているので ♂ だと思われます。私の記録の中で木の上に止まったチョウゲンボウはこれまた2/15と非常に少ないです。
 この絵をみると、確かにタカというよりはオウム・インコ系の姿にシルエットが似ていますね。



「チョウゲンボウ ♀ 電線の上」 クリックで拡大します。

チョウゲンボウ ♀ 電線の上

沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/16
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x

 電柱/電線での記録は9/15回と、チョウゲンボウの観察で一番多いパターンとなります。はたしてチョウゲンボウの電線好きにはどういう理由があるのでしょうか。



「チョウゲンボウのホバリング ♀」 クリックで拡大します。

チョウゲンボウのホバリング ♀

茨城県稲敷市
800x533 px
2019/11/02
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 駐車場に車を止めて外に出てみたら、偶然頭上でチョウゲンボウがホバリングをしていました。チョウゲンボウのホバリングは色々なところでよく見ます。結構時間も長めに飛んでくれるのでカメラを用意する時間もあったりしますが、かといって落ち着いて準備するわけにもいきません。このときも焦りながらなんとか間に合わせて手持ちで撮ったのですが、気がはやるとやはりうまくはいかないものです。結果少しブレてしまい、小さめの絵での紹介となりました。



観察データ

場所と回数:沖縄県 3、岡山県 4、滋賀県 2、茨城県 4、宮城県 2、計15回。基本的には農耕地で見ることが多いです。ただ標高1,400mくらいの山の上でも2度ほどみていますので、平地だけという感じでもありません。

観察月と回数:

1月2 〇〇
2月1 〇
3月3 〇〇〇
4月1 〇
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月2 〇〇
11月4 〇〇〇〇
12月2 〇〇
計15回
関東では基本的に冬鳥です。夏場は中部以北の高地や崖があるような場所で繁殖しているそうです。沖縄県では完全に冬鳥ですが、3月に八重山諸島を訪れた私はチョウゲンボウの気配の濃さに驚かされました。冬の関東よりはるかに数が多いと感じました。




 (トップ画像 チョウゲンボウ ♀ 2024/1/6 D500 500mm/F4.0 茨城県稲敷市にて撮影)

 初出:2025/4/29