Sakanaya's Graphic Works 横浜市、福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in yokohama,Fukuyama
Japanese Wild Birds in yokohama,Fukuyama
ヒメウ 姫鵜
Himeu
Phalacrocorax pelagicus
Pelagic Cormorant
ヒメウ カツオドリ目ウ科 絶滅危惧IB類 (EN)
沖海にも出る、
クチバシの細い小柄なウ
沖海にも出る、
クチバシの細い小柄なウ
ヒメウについて
世間一般で「ウ」と言えば街でも見かけることが多いカワウが一般的です。実際には日本では4種のウが見られます。そのうちチシマウミガラスは北海道の一部のみで見られることもあり、あまり一般的ではありません。私が住んでいる関東地方でいうと、カワウ、ウミウ、そしてここで紹介するヒメウの3種が見られることとなります。
3種の観察場所を簡単に分けると、カワウは湖沼や川で。もしくは東京湾などの内湾で。ウミウは主に外海で見られ、ヒメウはウミウを観察しているとたまに見る存在となります。ヒメウはカワウ、ウミウと比べるとかなり数が少なく、実際国内レッドリストでは絶滅危惧種IB(EN)に指定されていいます。
私は現在神奈川県に住んでいますが、三浦半島先端の城ヶ島の一部は「ウミウ、ヒメウ及びクロサギの生息地」として県の天然記念物に指定されています。ということで神奈川県民はヒメウ観察に良い環境にあって、私もこちらによく出かけてウのみならず多様な海鳥観察をしています。ちなみに当地では、ウミウ、ヒメウは越冬地として、クロサギは国内の繁殖地北限として知られているそうです。(クロサギは2月に銚子でも見ているので、最近の温暖化もあって生息北限も変わっているかもしれません)
「ヒメウ 成鳥」 クリックで拡大します。
千葉県
1024x682 px
2020/02/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
千葉県で見かけたヒメウ成鳥です。非繁殖羽なので、顔全体的に黒っぽく見えます。特にクチバシが細いのが特徴で、少し慣れればパッと見ただけでカワウやウミウと区別できるようになります。
ウ類は総じて ♂ ♀ は同じ体色をしています。なので雌雄の判別は見た目だけでは難しいと思います。ウ類も繁殖期前には派手な生殖羽姿に変わるので、私はずっと思い込みで、繁殖期に派手になるのが ♂ で、少し茶色っぽい姿のが ♀ と信じていて、このWebでもそう書いていましたが、どうも間違いのようです。(「雌雄同色」と書かれているだけで、生殖羽については特に記載が見つからない)図鑑では「雌雄同色で若い個体は茶色」とありますので、その説で紹介していきたいと思います。
「堤防のヒメウ」 クリックで拡大します。
千葉県
1024x682 px
2020/02/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
堤防で羽を乾かすヒメウです。緑色に光る羽根がきれいですね。
「ヒメウ 飛翔 成鳥、若 」 クリックで拡大します。
神奈川県三浦市
成鳥 2024/01/06
若 2022/04/02
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
一枚目のグリーンがかって見えるのが成鳥です。口元が少し赤く染まっているので、生殖羽への変わり始めの姿だと思われます。2枚目は茶色い姿なので若鳥だと思われます。
「ヒメウの渡り」 クリックで拡大します。
静岡県御前崎市
2024/04/14
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
春の陽気の中、御前崎で海鳥観察をしていたところ、多くのウが東へ向かって移動していきます。おそらく北国へ向かう群れなのだと思われます。皆が陸から遠い距離を飛んでいくので、リアルタイムではこれが何ウなのか、よくわかっていませんでした。「たぶんまたウミウなんだろう」と思いつつ、家に戻って撮った画像をよくよく見直すと、写っている記録の大半が予想に反してヒメウでありました。ウミウも写ってはいたもののごく少数で、ヒメウの軍団を数えてみるとわずかな時間で100近い数が渡って行ったようです。
これまでの経験ですと、ヒメウはウミウの1/5~10くらいの数なイメージなので、今回大きな群れを含む相当数がヒメウだったのはちょっと意外というか、個人的には過去最高のヒメウ祭りだったと思います。御前崎では他にシロエリオオハムもたくさん見られた(リアルタイムはウだと思っていた。。)ので、冬に行っても面白い場所なのかな?と新たなブックマークとなりました。(真冬に行くのは寒そうですけど。。。)
「霧多布のヒメウ 群れの休憩、拡大、群れの飛翔」 クリックで拡大します。
北海道厚岸郡
1024x682(800x533) px
2022/05/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
道東の霧多布岬での観察です。時期的にもっと北へ移動中か、こちらに着いてすぐの繁殖前の群れだろうと思われます。
1枚目の群れの絵、一番上段の身体が大きい数羽はウミウで、それより下がヒメウです。
2枚目、ヒメウの一部は生殖羽になっているので、その部分を拡大してみた絵も置いておきます。生殖羽では冠羽があって、更に腰に白斑が入っているのがわかります。
3枚目は群れで飛んでいるところ。関東で見るヒメウもウミウも、このように群れで飛ぶところは見たことがありません。カワウが群れで移動するのは見ますけれど、このように海面近くを乱舞するのはあまり記憶になく、やはり繁殖地ならでは光景なのかな?、と感じました。
霧多布岬ではラッコも見られるのだとか。私も探してみたところさっそくそれっぽい黒い姿を見つました。頑張って絵に撮ってみたところ、こちらは思いもよらず、ゴマフアザラシだったとわかりました。残念。(実際はゴマフを見るだけでもラッキーなのですが、どうせなら本物のぼのぼのを見たかった)
「ヒメウの羽根」 クリックで拡大します。
千葉県九十九里浜
2024/02/11
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
いつも海鳥観察に行く九十九里浜の突堤に立ったら、足元に少し干からび気味の黒い羽が一枚落ちていました。当日近くにいたのはクロガモ、シノリガモ、ヒメウ、マガモ、ヒドリガモ、アビくらいのものです。
羽図鑑で調べてみたところ、どうやらヒメウの風切り羽根らしいとわかりました。最初はウミウかな?とか思っていましたが、サイズ的に大きな差があって合いません。確かに2024年の冬はこの突堤回りでヒメウをよく見ているので、可能性としても十分です。というわけで、この羽根がヒメウの風切り羽根である自信のほどは80%くらいかと思っています。ただ、少し艶が失われた状態で拾ったので、そこが惜しいところでしょうか。
観察データ
場所と回数:静岡県 1、石川県 1、神奈川県 11、東京都(大島) 1、千葉県 5、津軽海峡 1、北海道 2、計22回。
比較的波の荒い外海に面した岩場回りを探すのが基本です。強風後の波が非常に荒いときなどは港湾内でも見られます。絶滅危惧種IB類(EN)に指定されているくらいなので、同じ環境で見られるウミウと比べて出会いの数は少ないです。ただどういう場所にいるかがわかれば、結構出会いは多いと感じます。
観察月と回数:
1月1 〇
2月7 〇〇〇〇〇〇〇
3月5 〇〇〇〇〇
4月3 〇〇〇
5月3 〇〇〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月3 〇〇〇
計22回
日本では北国(主に北海道一部青森)で夏鳥、本州中部以南では冬に見られるとのこと。関東地方では12/10~4/24までの間で見ているので、北に戻るのは結構遅めな印象です。
(トップ画像 ヒメウ 2020/2/1 千葉県)
初出:2020/02/09
改訂:2021/01/03 静止画の差し替え、観察データの更新
改訂2:2021/02/25 観察データの更新
改訂3:2021/03/01 飛翔絵の差し替え、観察データの更新
改訂4:2022/02/19 飛翔絵の差し替え、観察データの更新
改訂5:2022/04/03 飛翔絵の差し替え、観察データの更新
全面改訂:2024/01/14
改訂7:2024/01/21 静止画の追加
改訂8:2024/04/17 渡りの画像追加
改訂9:2024/04/18 羽根の画像追加