カケス 橿鳥
Kakesu
Garrulus glandarius
Eurasian jay

カケス スズメ目カラス科 LC
花鳥画が似合う、
 雅でカラフルな小型のカラス


カケス


 カケスは深山にいる小型のカラス類です。カラスとはいえ、色目がカラフルで、花鳥画でよく題材にされる美しい鳥です。
 サイズはヒヨドリ以上ハト以下。山に入ればあちこちからジェージェーという濁声が聞こえてくるので、声はご存じな方が多いかと思います。しかしこの鳥、結構シャイで、大抵は高所の枝に隠れて姿を見せてくれません。
 一方山道を車で走っていると、路から飛び立つ姿をみることがあります。このとき白い腰がよく目立つので、ハト類との区別は用意です。カラス類ですので、飛翔はあまり上手でなく、山の中をゆっくりふわふわと飛びます。そのせいか、タカ類には格好の獲物と見なされるようです。



「カケス Garrulus glandarius japonicus」 クリックで拡大します。

カケス Garrulus glandarius japonicus

群馬県吾妻郡
1024x682 px
2023/07/14
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 カケスは中々全身が見える写真を撮らせてくれません。さすがにこれくらい距離があればなんとか姿を見せてくれるようです。もう15年以上カケスを撮ろうとしていますが、アップで撮るのはなかなか難しい鳥だと思います。



「カケス 縄張り争い」 クリックで拡大します。

カケス 縄張り争い

山梨県南都留郡
1024x682 px
2018/08/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 カケスは興奮すると冠羽を逆立てます。普段どちらかというとおっとりとしてみえるカケスですが、こうやってみると結構気性が激しいようです。



「カケスの飛翔」 クリックで拡大します。

カケスの飛翔

広島県福山市
1024x682 px
2010/11/21
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 飛翔絵というよりはカケスが飛び立ったところです。翼の一部に水色が覗いて見えます。私の経験ではこのように人前に飛んでくれることは結構まれで、もうかなり古い記録ですが、今も貴重な一枚です。



「亜種ミヤマカケス Garrulus glandarius brandtii」 クリックで拡大します。

ミヤマカケス

北海道道東
1024x682 px
2025/6/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x

 北海道の道東で見つけた亜種ミヤマカケスです。本州の亜種カケスは頭が細かな白黒模様ですが、ミヤマカケスは頭全体が首回りと同じ薄い赤茶色です。
 ここは北海道でも標高700mほどあって、年間の気温で考えれば本州の2,000m級の場所でした。あたりはハイマツが覆っている環境なので、本州だとホシガラスがいるようなイメージの場所です。
 たまたまなのか地域性なのかわかりませんが、このミヤマカケスはとてもフレンドリーで、見通しのよいハイマツの上を長時間うろうろしてくれました。



「亜種ミヤマカケスの飛翔」 クリックで拡大します。

亜種ミヤマカケスの飛翔

北海道道東
1024x682 px
2025/6/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x

 こちらも飛翔というよりは近くに飛び移ったところの絵です。本当にサービスのよい個体でした。



「カケスの羽」 クリックで拡大します。

カケスの羽

新潟県十日町市
1024x682 px
2022/06/18
Nikon D7100 Mode A
Nion DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED

 新潟県に夏の鳥を観察しに出かけ、山の遊歩道を歩いていたとき、足元に散乱する水色の羽を見つけました。なぜか水色が混ざった部分と真っ黒な部分ばかりで、白黒部分やオレンジ色部分は拾うことができませんでした。なぜそのように偏った残り方になったのかは、今もって謎です。
 カケスの水色部分を含んだ羽を拾うことは、鳥の羽集めを始めてからの長年の夢の一つだったので、今回泊りがけで新潟まで遠征した甲斐が現れてくれ、安堵した次第。(他の出があまり芳しくなかった。。ということです。毎度の言い訳。)



「カケスの羽 顕微鏡」 クリックで拡大します。

カケスの羽 顕微鏡

新潟県十日町市
1024x682 px
2022/06/18
Keyence VHX-8000

 私はカケスの美しい羽を使って、携帯ストラップを自作し、普段からお守り代わりに持って楽しんでいます。最近最新のデジタル顕微鏡を使う機会があったので、これを試し撮りに使ってみました。
 この顕微鏡写真をモニター上にビットマップ100%で映した場合、私の使っている24inchモニターではおよそ24倍の倍率となります。観察すると羽が中心軸から枝に分かれ、これが美しい青色のグラデーションを作っていることがわかります。しかしさらに、羽はそれだけでは終わっていないことがわかります。色を作る枝軸からは、お互いがばらけぬように、更に細いひげのような羽軸が絡み合って紬となり、一枚の羽を形作っていることがわかります。この緻密さをみると、生き物って凄いな、とあらためて思わされます。



観察データ

場所と回数:広島県 5、滋賀県 1、長野県 5、新潟県 1、山梨県 3、神奈川県 9、埼玉県 1、栃木県 1、青森県 1、北海道 1、計27回。春から秋は気温が涼しめの深山で。冬は低山や低地の里山公園でも見かけます。姿は見えずとも、「ジェー・ジェー」としわがれた声を聞くだけなら、優にこの倍の回数は接近遭遇しているはずです。

観察月と回数:
1月2 〇〇
2月2 〇〇
3月1 〇
4月2 〇〇
5月3 〇〇〇
6月2 〇〇
7月2 〇〇
8月1 〇
9月3 〇〇〇
10月2 〇〇
11月3 〇〇〇
12月4 〇〇〇〇
計23回

留鳥または漂鳥。冬場は街中の里山公園にも降りてくることがあります。北海道のミヤマカケスは夏場に一度だけ見ています。




 (トップ画像 カケス D500 500mm/F4.0 2018/08/01 山梨県にて撮影)

 初出:2022/09/19
 改定:2022/11/27 羽の顕微鏡画像を追加
 改定:2025/07/25 全身写真の差し替え、北海道亜種ミヤマカケスを追加