ホオアカ 頬赤
Hoaka
Emberiza fucata
Chestnut-eared bunting

ホオアカ スズメ目ホオジロ科
 夏の高原で天にさえずる
 頬が赤い小鳥

   

ホオアカについて



 ホオアカはホオジロ科の小鳥です。図鑑でみると夏は本州の高地で繁殖し、冬は西日本に移動して越冬するとあります。しかし私自身はもとより、福山時代の周囲の情報からもホオアカの情報を聞いた記憶はありません。なのでホオアカを西日本で観察できるのか?という点に関しては、私は何も体験できないままに終わっています。
 私が初めてホオアカと出会えたのは、関東に移り住んでからのことで、特に甲信越の高原に出かけるようになってからでした。繁殖期に入る初夏に高原に行きさえすれば、ホオジロに似たきれいなさえずりが周囲から聞こえてきます。(たまにホオジロも混じるのでそこは愛嬌)また場所も「高原」なわけですから、観察するときも森の木々みたいに遮るものがありません。あとは「さえずりを元に草木や低木のてっぺんでさえずる姿を探すだけ」となり、観察に至るまでのアクセスの問題は少しあるものの、観察すること自体は比較的容易な小鳥だと思います。





「ホオアカ ♂ 夏羽 湿原」 クリックで拡大します。

ホオアカ ♂ 夏羽 湿原

群馬県利根郡
1024×682 px
2023/07/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 高原湿原で見かけたホオアカです。ここはとても広い湿原ですが、遊歩道を歩いているとあちらこちらでホオアカを見かけました。湿地ですからたくさんの虫がいましたし、繁殖地としては最高な場所なのでしょうね。
 



「ホオアカ ♂ 夏羽 峠」 クリックで拡大します。

ホオアカ ♂ 夏羽 峠

長野県小県郡
1024×682 px
2021/06/26
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 長野の亜高山の峠で撮ったホオアカです。ここの標高は1,700mくらいでしょうか。当日の記録を見ると、周囲にはホオジロとビンズイもいて、皆で競いあってさえずっていたようです。
 



「ホオアカ ♂ 夏羽 高原1」 クリックで拡大します。

ホオアカ ♂ 夏羽 高原

長野県上田市
1024×682 px
2017/07/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 標高2,000mほどの高原での記録です。当日は急に霧が出て目の前がホワイトアウトしたり、一気に寒くなって上着を羽織ったりしたことを今も思い出します。「ここまで過酷な環境まで上がってこなくても、あと500mくらい下の方が天気も安定しているし、適度に涼しくてもっと過ごしやすいんじゃないの?」みたいに思いましたが、それは人間様の浅はかな考えなのでしょうか。。
 



「ホオアカ ♂ 夏羽 高原2」 クリックで拡大します。

ホオアカ ♂ 夏羽 高原2

長野県上田市
1024×682 px
2017/07/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 一つ上の絵と同じ日の記録です。撮った時間も3分差くらいなのでおそらく同じ個体だと思われます。
 



「ホオアカ ♀ 夏羽 湿原」 クリックで拡大します。

ホオアカ ♀ 夏羽 湿原

長野県下諏訪町
1024×682 px
2024/05/25
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 長野の高原湿原で水を飲みに飛んできたホオアカを見つけました。鳥が少し遠かった、且つ、逆光だったこともあって、鳥を見つけたときはあまりウキウキ感がなかったのですが、当日はシャッターを切る回数も余りなく、正直なところ不作な一日だったため、「とりあえず撮っておくか」と記録だけはしておきました。ところが後々になってこの記録が「自分的には貴重なものだった!」ということがわかりまして、今となればいつもながらの自分の志の低さに反省させられるばかりです。
 はたしてどういうことかと申しますと、まず、ホオアカはほぼさえずりを聞いてから見つける鳥であるために、ここまで6度の記録は皆 ♂ ばかりとなっていました。ホオアカは雌雄ほぼ同色なので、あまりそこは気にしていませんでしたが、図鑑によれば細かくみればわずかに違いがあるとのことなので、「やっぱりいつかは ♀ も撮りたいよなぁ。。」などと思っていたところだったのです。で、今回のこの「とりあえず」の撮影が、まさにその初 ♀ だった!という落ちであります。
 先に申しました通り、ホオアカは基本的に雌雄同色です。ただ
 1.♀ の方が頭の灰色がやや薄い色をしている。
 2.のど下の黒い斑が ♂ ほど太くない。
 のど下脇の茶色い筋が ♂ より細い。
 ということがあって、他の絵と比べても、このホオアカは ♀ だったと思われます。よくよく見ればおなかの羽毛も割れていますし、すでに抱卵中だったのかもしれません。
 ここで一句。「とりあえず 見つけた鳥は 撮っておけ」 さかなや
 




観察データ

場所と回数:長野県 5、群馬県 1、宮城県 1、計7回。甲信越より東の亜高山以上の標高にて。宮城は低地での記録ですが、春先なので移動中だったのかもしれませんし、緯度が高いと平地でも見られるのかもしれません。環境としては高原や湿原のように空が広く開けていて、草や低木で覆われた場所で見ています。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月2  〇〇
6月3  〇〇〇
7月2  〇〇
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
計7回
私が見ているのはすべて夏です。実際には国内の漂鳥であって、冬場は西日本などの低地で過ごしているとのこと。ただ福山在住時代に冬鳥としてホオアカを見たこと一度もなかったので、越冬の場所は結構限られているのかもしれません。
 過去の観察時期は5月7日~7/16日までの間です。5/7日は宮城の平地での記録なので、夏の高原に絞れば5月25日~7/16日までとなります。さえずりが聞こえるこのころが一番見つけやすいのではないでしょうか。



 (トップ画像 高原でさえずるホオアカ ♂ D500 500mm/F4.0 + 1.4x 2017/07/08 長野県にて撮影)

初出:2017/08/12  改訂:2021/08/01 観察データ、ホオジロ科へのリンクを追加  全面改訂:2024/06/09