チュウシャクシギ 中杓鷸
Chushakushigi
Numenius phaeopus
Whimbrel

チュウシャクシギ チドリ目シギ科
下向きに湾曲した長い嘴が特徴的な中型のシギ


チュウシャクシギについて



 チュウシャクシギは”シャクシギ”と名の付くシギの一種で、長いクチバシが下方に大きく湾曲した、とても印象的な姿を持っている鳥です。サイズ的にはアオアシシギなどと似た感じで「中の大」くらいなイメージでしょうか。「身体は中型だけどクチバシが長いのでやや大き目に見える」みたいな感じですね。
 観察時期は春はGW前後、秋は盆以降から初秋にかけて。場所は海辺、特に干潟を探すのが基本です。淡水域の田んぼでも見られますが、私は川や池のほとりでは見たことがありません。田んぼでも見るのはいつも畔のあたりです。また自分の田んぼ周辺の観察記録は、初夏の田植えが始まる時期に限られています。クチバシを地面に刺して餌を捕るのに特化した習性ですから、基本的に柔らかな地面の周囲しかいないのだと思います。

 私がチュウシャクシギと最初に出会ったのは福山時代に遡ります。福山近辺の瀬戸内海の干潟で見たのが最初です。こちらでは割と近距離から観察できましたし、以後毎年観察できました。なので自分の中では「チュウシャクシギは観察(出会い)が簡単な部類だな」といった印象が頭に刷り込まれています。
 実際、関東に来てからも三浦半島の岩場、東京湾の干潟、九十九里浜の砂浜、利根川沿いの田んぼなどで広く観察できていますし、旅先の八重山諸島、九州、青森などでも出会っていますから、やってくる時期さえ知っていればかなり見つけやすい種だと思います。ただ姿かたちが特徴的なので、何度出会ってもカメラを向けずにはいられない大変ユニークなシギです。






「東京湾のチュウシャクシギ」 クリックで拡大します。

東京湾のチュウシャクシギ

東京都
1024x682 px
2024/04/27
Sony alpha7 III Mode M
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR


 東京湾の公園で撮ったチュウシャクシギ。ゴロ石と砂が混じった穏やかな岸辺でカニを捕っていました。
 この絵は借り物カメラで撮ったものです。この1週間前のこと、山でずっこけてD500を破損させてしまいました。GWに色々行きたいところや撮りたいものがあるのを前にして、自身のサブ機D7100だと「連射性能的に力不足だよなぁ」と困り、息子に頼んで彼の古いalpha7III(本人はalpha9。。。)を借りてみることにしました。
 その後約2Wの間、アダプターを介してFマウントゴーヨンを載せて方々で活躍してもらいました。感想としては、オールマニュアルでも操作的には使えないことはなかったのですが、色乗り(レンズとの相性?)に少し物足りなさがあり、D500が復旧したところで(未練なく)返却することができました。
 ただこのときフルサイズ機の良さも分かり、のちにZ6II購入への動機付けができました。息子様には感謝。



「福山のチュウシャクシギ」 クリックで拡大します。

福山のチュウシャクシギ

広島県福山市
1024x682 px
2015/05/10
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 カニを捕まえたチュウシャクシギ。このあとカニを振り回してダルマさん状態にしていき、最後は一飲みにしていました。


「福山のチュウシャクシギ 群れ」 クリックで拡大します。

福山のチュウシャクシギ 群れ

広島県福山市
1024x682 px
2015/05/04
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 チュウシャクシギの小群れです。15羽いて自分の見た中ではこれでも最も大きな群れでした。



「田んぼのチュウシャクシギ」 クリックで拡大します。

田んぼのチュウシャクシギ

千葉県
1024x682 px
2021/04/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 千葉の田んぼで見つけたチュウシャクシギ。川沿いの田んぼで、海からは直線距離で5~6kmくらいある場所です。ここでは年を越えて毎回同じGWの時期に3回いくらい観察記録があるので、彼らには居心地が良い場所なのでしょうか。ちなみに数は最大で2羽しか見ていません。
 



「チュウシャクシギの飛翔 東京湾」 クリックで拡大します。

チュウシャクシギの飛翔 東京湾

千葉県東京湾
1024x682 px
2015/09/21
Nikon D500 Mode S
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 この絵は御覧の通り低速シャッターで撮っています。exifを見るとSS 1/160のシャッタースピード優先ですね。私は普段絞り優先(ModeA)で撮っていますが、飛翔絵は大抵SSが1/1600以上になるようにしています。この日なぜこの速度で撮ろうとしたのかは全く思い出せません。一番怪しいのは、動画をMode S 撮った後で設定を戻し忘れしたのかな?というところです。(よくあるパターン)



「チュウシャクシギの飛翔 九十九里浜」 クリックで拡大します。

チュウシャクシギの飛翔 九十九里浜

千葉県東京湾
1024x682 px
2015/09/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR


 チュウシャクシギは主に泥質の水辺で見かけることが多いのですが、このときは珍しく九十九里浜の砂浜で見つけました。近くに岩場があったので、そこにいるカニを狙っていたのかもしれません。
 チュウシャクシギは渡り鳥だけあって飛翔力が強いと感じます。かなりの速度で自由に飛び回る姿は、特徴的なクチバシのラインもあってとても美しいです。



「チュウシャクシギの飛翔 八重山諸島」 クリックで拡大します。

チュウシャクシギの飛翔 八重山諸島

沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/15
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x


 八重山諸島のマングローブ林がある河口で鳥見をしてみました。思ったほど鳥はおりませんでしたが、チュウシャクシギの小群れが頭上を飛んでいるところに出会えました。シルエットだけですぐにチュウシャクシギとわかるあたりが面白いですね。
 時期的にこれから本州の方へ移動していくのでしょうか。また関東の地でも出会えるといいな。




観察データ

場所と回数:八重山諸島の河口 1、有明海 2、広島瀬戸内海 6、神奈川相模湾 1、東京湾 3、九十九里浜 1、千葉の田んぼ 3、青森の港 1、計18回。干潟だけでなく、磯や川沿いの田んぼなどでも見られます。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月1 〇
4月6 〇〇〇〇〇〇
5月6 〇〇〇〇〇〇
6月1 〇
7月0
8月2 〇〇
9月2 〇〇
10月0
11月0
12月0
都合18回

 旅鳥です。春と晩夏に見ています。具体的には八重山諸島で3月15日、九州~本州では4月22日~6月9日及び、8月13日~9月7日の間と、それぞれ一ヶ月程度の限られた季節に観察記録が集まっています。一番回数が多いのがGW前後で、4月22日~5月10日の20日くらいの間に(12年間で)計12回の記録がありました。総数で捉えると12/18回ですから、私の観察の2/3はGW前後に集中しているということになります。




  (トップ画像 チュウシャクシギ 2018/05/05 D500 500mm F4 九十九里浜にて撮影)

 初出:2014/09
 改訂:2015/05/10 絵を変更
 改訂:2018/05/05 飛翔絵を差し替え
 改訂:2021/09/12 シギ科へのリンクを追加。観察データの追加
 全面改訂:2025/05/17 全面書き直し