タシギ 田鴫
Tashigi
Gallinago gallinago
Common snipe

タシギ チドリ目シギ科
 冬に田んぼで田植えする
 クチバシの長い中型のシギ

   

福山市近辺での観察


タシギの動画

 福山の我が家の裏手には田んぼがたくさん並んでいます。ただ普通の田園風景とは少し違って、うちいくつかはクワイ畑となっています。
 2014年の早春はここにコチドリとタヒバリがやって来てくれました。また、かなり以前の話ですが、数年間休耕田(何も植えないけれど水だけ張って土地の質を生かしておく)になっていたことがあり、夏場以降、水生の雑草が生えてまるで芦原のような様相になったことがあります。その時はバンが営巣して無事雛も孵りました。このように沼地系の鳥との出会いが見込める貴重な場所なので、ふと思い出しては通勤時にスピードを十分落としてちら見し、珍しい訪問者がいないか確認するようにしています。交通量が極めて少ない道だからできる=つまり田舎なもので。。。できる技なのでしょうね。

訪れる対象がおよそ湿気好きな鳥なため、
雨の日にシルエットを見つけ、翌日以降天気が回復した後に、車を脇に止めて数分だけ激写
仕事が終わって家で確認
珍しいお客さんが来た!
でも撮った絵がもう一つだった。。がっかり。。
翌日以降も繰り返す
休日が来るのを待って本格的に撮りだめする
というパターンがお決まりです。

 車内からだと鳥も安心感があるようで、比較的近くから撮ることができますが、毎度この方向は朝陽に対して逆光になるシチュエーションとなってしまいます。丁度コチドリのページのトップ画像がこのパターンで撮ったものです。逆光も絵として嵌ると良いのですが、失敗するとゴミの大量生産になります。また2014年春当時はまだ手振れ補正が無い古いサンヨンを使っていたので、ますます歩留まりが良くありませんでした。ブレ対策だけで考えるとTamron A011を使うようになってからは随分楽になりました。感謝。それでもゴミ作成率は高いですが。。(レンズのせいではありません。悪いのは私です)
 今回のタシギは月曜の朝に見つけ、その後平日に少しずつ撮りだめしておき、日曜に本格的に撮影!の予定だったのですが、残念ながら日曜の朝にはもう彼らの姿はありませんでした。がっかり。。そして翌週もやはり姿が見えないままになり、どうやらお別れとなってしまいました。それでも平日撮りだめしておいた絵があるので良しとしましょう。貴重な出逢いに感謝。
その後しばらくタシギとの出会いは途切れましたが、横浜に引っ越して半年後の2016年4月、東京港野鳥公園に出かけた際、久方ぶりにタシギさんと出会えました。相変わらず泥の地面をツンツンしています。「うーん、美味しそうには見えないなぁ」と思いつつ「余計なおせっかい」という声が聞こえてきそうな気がするタシギさんでありました。  
 動画前半は平日の真ん中で5分早起きして三脚を出して南方向から撮った動画です。雨だったので短時間しか撮れませんでしたが、動画はやはり固定カメラに限りますね。ラストの緑のコケっぽい葦原の中でツンツンしている動画は東京港野鳥公園でのものです。左「タシギの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。動画は20MBありますので、DL環境にご注意ください。


福山のタシギ

 タシギの英名”Snipe"は狙撃者を意味するスナイパーの語源となっています。私は最初、タシギの長いクチバシをライフルの銃身に見立てて、銃を持つ狙撃者を"スナイパー"と名付けたのかと思いましたが、実際はタシギが美味なため欧州はじめ日本でも狩猟対象となっており、タシギ(スナイプ)猟を行う人=スナイパー=狙撃者となったのだそうです。タシギの長いくちばしは関係していなかった。。。思い込みでした。日本ではタシギ料理ってあまり聞いたことがないですね。ちなみにフランス料理では美味な食材(ジビエ)として重宝されているそうです。ただし、タシギってくちばし含む全長27cmですから身体のサイズはざっとツグミさん程度です。全長から想像するほど大きな鳥ではありません。撃つのはいいけど食うところあるんだろうか。。コロコロした体形だから思ったより身が多いんでしょうか。。

 上で書いた通り車中からの絵は皆逆光気味の絵となっています。それでもなんとか羽の模様が見られる絵となったのは、およそこの週の天気が良くなくて曇っていたからです。Top画像の日だけは天気が良かったので逆光が強いですね。左「タシギのアップ 福山市自宅」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


霞ヶ浦のタシギ 2016

 2016年の暮れも近づいた頃、ふと霞ヶ浦が気になって出かけてきました。葦原に到着する少し前、辺りに広がる蓮田に車を向けてみますと、ラッキーなことにタシギらしいシギがが二羽見えました。通りがかりで見つけたので車の中からレンズを向けたのは福山の時と同じですが、今回は逆光でなく斜光であったため、比較的コントラストの高いタシギの絵が撮れました。

 左「霞ヶ浦のタシギ2016 茨城県稲敷市」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


霞ヶ浦のタシギ 2018

 2018年の2月、早期の入院手術が決まり、私の3月の鳥見はほとんど絶望的となりました。そこで入院前に今冬まだ出かけていない茨城南東部~千葉北東部つまり霞ヶ浦から銚子までバーダー幸せゾーンを一通り見てこようと決心。今回は早朝から行動を始める今までとは違って、夕方の芦原をメインに土曜の午後から現地に向かいました。なぜなら午後3時を過ぎる頃からが猛禽類のゴールデンタイムだという話を聞くからです。

霞ヶ浦の浮島に近い稲敷市に入ったのは丁度日差しも弱まる午後3時頃。もちろん本命はチュウヒであります。といいつつ、裏の狙い目として毎度同じくらいに楽しみにしているのが、周囲の広大な農地にいる鳥さんたちです。中でも水が張られた田んぼ(蓮田だけとは限りません)には淡水系のシギたちがやってきます。過去、冬はタシギとタカブシギをみています。この日もタシギが9羽いて、皆で田んぼをつんつんしながらえさ掘りに励んでいました。おかげさまで今までタシギを撮った経験の中では最も順光の条件で撮ることができラッキーでした。なお、写真は今回も車の中から手持ちで撮っています。うーん正にスナイパーではありませんか。ライフルでなくて大砲ですが。。。

 左「霞ヶ浦のタシギ2018 茨城県稲敷市」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


タシギの飛翔

 2022年3月も後半、季節はもう春です。もう冬鳥は当てにできませんが、渡りのシギチを見られるかもしれないと、稲敷にやってきました。しかしお目当ての珍しめのシギチは見当たりません。冬にいつもいるタカブシギやタシギ、タゲリなどもいない。。。いや、かろうじてタシギが一羽残っていました。
 タシギは基本水辺の浅瀬で地面をつんつんしていて、こちらが飛ばさないかぎりはあまり飛翔姿を見ることがありません。しかしこの日はラッキーなことにカメラを向けているときに飛んでくれて、なんとか飛ぶ姿を捉えることができました。こうして翼を広げている姿を見ると、おもったより派手できれいですね。
 なお、飛翔を追えるのは基本遠目の観察で、あまりレンズを振らなくてよい条件のときです。イコール米粒。。です。どんまい。

 左「タシギの飛翔 茨城県稲敷市」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:福山市 5、岡山県笠岡市 1、横浜市 1、東京都区内 1、茨城県稲敷市 9、計17回。西日本から関東まで、冬鳥として見ています。基本湿地で見かける鳥です。もしお住いの近くに蓮田やクワイ田があれば、結構昼間のど真ん中でも採餌していたりしますので探してみましょう。葦原などよりはずっと観察し易いので是非探してみてください。

観察月と回数:
1月3 〇〇〇
2月8 〇〇〇〇〇〇〇〇
3月2 〇〇
4月2 〇〇
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月1 〇
12月1 〇
計17回

西日本から関東では冬鳥です。


 (トップ画像 タシギ 2015/02/20 D7100 150-600mm/F5.6-6.3 福山市芦田町自宅撮影)

 初出:2015/02/25
 改訂:2016/04/25 動画を更新
 改訂:2016/12/20 静止画を差し替え
 改訂:2018/03/08 静止画を追加
 改訂:2022/01/04 シギ類へのリンクと観察データを追加
 改訂:2022/03/24 飛翔絵を追加。観察データを更新