Sakanaya's Graphic Works 横浜市、福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in yokohama,Fukuyama
Japanese Wild Birds in yokohama,Fukuyama
タシギ 田鴫
Tashigi
Gallinago gallinago
Common snipe
タシギ チドリ目シギ科
冬に田んぼで田植えする
クチバシの長い中型のシギ
冬に田んぼで田植えする
クチバシの長い中型のシギ
タシギについて
タシギは日本では冬鳥で、主に田んぼや川べり、池のふちなど泥質の湿地で見られます。とても長く真っ直ぐに伸びたクチバシが最大の特徴で、その長さは頭の倍ほどもあります。このクチバシを泥に突きさしてミミズなどの虫を探し出し、餌にします。
タシギを初めてみたのは福山時代の自宅裏の田んぼでのことでした。朝の出社時、車で家を出てすぐ、横の田んぼで走る鳥を見つけたのが最初の出会いでした。
福山はクワイの栽培が日本一盛んな生産地です。クワイは縁起物とされていて、よくおせち料理に使われるため、正月前に収穫の最盛期を迎えます。そして正月を過ぎた真冬の時期も、クワイを採って残った(水気の多い)茎などが田に積まれている場合が多く、水が抜かれても土の柔らかさが保たれています。そうして裏の田んぼにはタシギやコチドリ、タヒバリなど湿った泥地が好きな冬鳥がたくさん集まっていたのです。
関東では蓮田で見ることが最も多いです。また地元の里山公園の湿地や、東京湾の公園の池周りでもよく観察しており、誰もが観察し易いシギだと思います。またクチバシの長さなど、見た目にとてもインパクト感のあるシギなので、鳥見ビギナーの方などには是非探してみていただきたい野鳥の一つです。
「霞ヶ浦のタシギ」 クリックで拡大します。

茨城県稲敷市
1024x682 px
2018/02/25
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR
茨城の蓮田で撮ったタシギです。早朝に車の中から撮ったと記憶しています。
タシギの英名”Snipe"は狙撃者を意味するスナイパーの語源となっています。私は最初、タシギの長いクチバシをライフルの銃身に見立てて、銃を持つ狙撃者を"スナイパー"と名付けたのかと思いましたが、実際はタシギが美味なため欧州はじめ日本でも狩猟対象となっており、タシギ(スナイプ)猟を行う人 = スナイパー = 狙撃者となったのだそうです。タシギの長いくちばしは関係していなかった。。。思い込みでした。
日本ではタシギ料理ってあまり聞いたことがないですね。ちなみにフランス料理では美味な食材(ジビエ)として重宝されているそうです。ただし、タシギってくちばし含む全長27cmですから身体のサイズはざっとツグミさん程度です。全長から想像するほど大きな鳥ではありません。ちなみに日本国内でも狩猟鳥となっています。
「霞ヶ浦のタシギ ペア?」 クリックで拡大します。

茨城県稲敷市
1024x682 px
2016/12/18
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
一つ上の絵と同じ茨城の蓮田で撮ったタシギです。二羽で仲良くじっと身体を寄せ合っていたので、たぶんペアだったのかなと思っています。
この絵は丁度冬至あたりの夜明け間もない7時台に撮った絵です。まだ光の角度も浅く寝ていて、直射なのに光がきつくなり過ぎずいい具合になったと思います。今もお気に入りの絵の一つです。
「霞ヶ浦のタシギ エサ捕り中」 クリックで拡大します。

茨城県稲敷市
1024x682 px
2018/02/24
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR
同じく茨城の蓮田で撮ったタシギです。こちらは夕方近い15:30頃の絵です。
タシギは長いクチバシを泥に刺してミミズなどのエサを探します。ときには首まで水面下に浸けて餌を探します。
「福山のタシギ」 クリックで拡大します。

広島県福山市
1024x682 px
2015/02/17
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
今から10年も前、福山時代の自宅裏のクワイ田で撮った絵です。前日に雨でも降っていたのか田んぼが濡れています。当日はタシギが餌を捕るのに丁度良い環境だったのかもしれませんね。
「福山のタシギ カップル?」 クリックで拡大します。

広島県福山市
1024x682 px
2015/02/20
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
こちらも福山での記録。2羽が仲良く並んで田植え(?)をしている絵です。
調べてみたところ一つ上の2015年2月17日は火曜日。そしてこの絵の2月20日は金曜日だったようです。どちらの絵も早朝7時10分頃に撮っているようなので、会社に出かける道すがらで撮ったもののようです。田舎暮らしならではの撮影記録ですね。横浜ではなかなかできないなぁ。。
「霞ヶ浦のタシギ 羽根繕い」 クリックで拡大します。

茨城県稲敷市
1024x682 px
2018/02/24
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR
いつもは地味なタシギですが、羽根を広げると細かな模様が際立ってとても美しいと思えます。
「霞ヶ浦のタシギ 直接頭掻き」 クリックで拡大します。

茨城県稲敷市
1024x682 px
2018/02/24
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR
シギとチドリはまとめて”シギチ”と呼ばれます。どちらもチドリ目の鳥で水辺に生息する鳥なためまとめて”シギチ観察する”などと言われますが、似ているところもあれば違うところもあります。
鳥が足指で頭や首元のあたりを掻き掻きするとき、シギは直接頭掻き、チドリは関節頭掻きという二つの方法に分かれます。チドリ科の鳥は翼を下げて、翼の上から足を延ばして頭を掻きますが、シギは御覧の通り翼を下げずにそのまま足を直接に延ばして掻きます。シギは足が長いので直接頭掻きの方がしやすいのでしょうか。でもセイタカシギ(チドリ目セイタカシギ科だがどちらかというとチドリ科に近いとされている)は足が超長いけど間接頭掻きですから、足の長さだけの問題ではなさそうですね。謎だ。
この絵、クチバシの先端だけが上に反り返っているのが分かりますでしょうか。タシギのくちばしは、一見したところ、一本の硬くて真っ直ぐなクチバシに見えますが、実際は先端で餌を探したり捕ったりするために、先端のみを動かしたりと細かな動きができたり、餌探しでもセンサーの役割をもっていて敏感な神経も通っているとのことです。
「タシギの飛翔」 クリックで拡大します。

茨城県稲敷市
1024x682 px
2022/03/20
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4EFL ED VR
もう春となった3月下旬の絵です。翼の後縁に白い帯が出るのがタシギの特徴です。
観察データ
場所と回数:福山市 5、岡山県笠岡市 1、横浜市 1、東京都 2、茨城県稲敷市 11、計20回。西日本から関東まで、冬鳥として見ています。基本湿地で見かける鳥です。もしお住いの近くに蓮田やクワイ田があれば、結構昼間のど真ん中でも採餌していたりしますので探してみましょう。葦原などよりはずっと観察し易いので是非探してみてください。
観察月と回数:
1月4 〇〇〇〇
2月9 〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月2 〇〇
4月2 〇〇
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月1 〇
12月2 〇〇
計20回
西日本から関東では冬鳥です。私の観察は11月16日~4月23日の間で見ています。
(トップ画像 タシギ 2018/02/24 D500 500mm/F4.0 茨城県稲敷市)
初出:2015/02/25
改訂:2016/04/25 動画を更新
改訂:2016/12/20 静止画を差し替え
改訂:2018/03/08 静止画を追加
改訂:2022/01/04 シギ類へのリンクと観察データを追加
改訂:2022/03/24 飛翔絵を追加。観察データを更新
全面改訂:2025/05/18 全面書き直し