エトピリカ 花魁鳥
Etopirika
Fratercula cirrhata
Tufted Puffin
エトピリカ チドリ目ウミスズメ科 絶滅危惧IA類 CR
一度見たら忘れられない
派手な顔をした北の海鳥
一度見たら忘れられない
派手な顔をした北の海鳥
エトピリカについて
子供の頃から鳥の図鑑を見て育った私にとって、「エトピリカ」は長らく憧れの鳥の筆頭でした。まずその名前の響きが独特です。この名はアイヌ語で「エト = 美しい ピリカ = クチバシ」を言い表しています。そして南国のジャングルに棲む鳥のように派手な顔をしているのに、実は全く逆で最果ての北国に棲む海鳥だというのも不思議。当たり前ですが当時大阪に住んでいた子供には出会える機会もなく、図鑑でしか知らないとてもミステリアスな鳥でした。
この感覚は大人になって本格的に野鳥観察を始めてからも変わりませんでした。たまに図鑑をめくって写真を眺めていても「まず縁がない鳥だろうな」で終わってしまいます。しかし2022年、初めて道東まで足を延ばすことができ、「北海道での鳥見」が現実となったことで、それまで諦めていた鳥たちとの距離がなんとなく縮まってきたように感じました。残念ながらこの年は知床の観光船事故があって、予定していたクルーズ船(このときはオーロラ号)に乗ることができず、観察は陸のみで終わります。
このときの心残りもあって、その3年後の2025年6月、二度目の道東行きを決めました。そして今度こそはと満を持して海鳥観察専用クルーズ船を予約し、ついにエトピリカ観察に挑戦するまでたどり着いたのです。
道東観察旅行2日目、クルーズ乗船の前日には、予行演習がてらかみさんと一緒に知床でオーロラ号(知床観光フェリー)に乗り、まずは幸先よく ケイマフリを初ゲット。幸い翌日も天気は良さそうで期待が膨らみます。そしていよいよ当日。観察クルーズ船に乗り、港を出ます。ただ当日は早朝から地域全体に霧が出ていて、出航当初もまだ海面が霧で覆われており、鳥が霧の中から見え始める距離 = 鳥が逃げる距離となっていました。鳥に気づいてレンズを向けたらもういない、みたいな「超焦るパターン」の連続です。この後の観察クルーズに少々不安がよぎります。それでも本命地点に近づくにつれ、霧は少しずつ晴れていきました。こうなると期待は高まるばかりです。
さて、レンジャーさんのお話では過去2週間エトピリカは現れていないとのこと。「まぁ、昨今の状況を聞く限り確かにそんなものか」と空振りの覚悟もしておりました。それでも船が進むにつれて、オーロラ号では米粒にしか見えなかったケイマフリやウトウなどがかなり近くから観察できていましたし、またラッコの家族も思っていた以上にしっかり観察できたので、乗船自体にはすでにすっかり満足しておりました。エトピリカのことはもう忘れかけていたそのときです。ついにレンジャーさんからエトピリカ発見を告げられました。乗船客一同にも一気に緊張が走ります。それにしても我々はなんとラッキーな一団だったのでしょう !
水面にぽつんと浮いていたエトピリカは、ウトウやケイマフリのようにすぐには逃げず、しばらくの間私たちに大サービスしてくれました。現れさえすれば結構フレンドリーな海鳥ですね。興奮してはっきりは覚えていませんが、おそらく1分以上はエトピリカと対峙した時間があったと思います。
おかげさまで今回の道東旅行は最高の撮影旅行で終わることができました。見つけてくれたレンジャーさんと道東の海に感謝。「2週間ぶりに現れてくれた」という運にも感謝です。
「エトピリカ」 クリックで拡大します。

北海道 道東
1024x682 px
2025/06/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x
距離は30mくらいまで近づけたでしょうか。お顔が派手なので大きく感じますが、実際はウトウやケイマフリと同じくらい。身近な鳥で言えば、ざっとコガモと同程度なサイズです。
撮影中は夢中でシャッターを切りましたが、数撮ってもべたな海の上なので同じような写真ばかりとなりました。(言い訳)なのでご紹介できる絵は少ないです。
「エトピリカ アップ」 クリックで拡大します。

北海道 道東
1024x682 px
2025/06/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x
上の絵をアップにトリミングしてみました。見れば見るほど不思議な顔をしています。ちなみにくちばしの赤いハートマークは被せものみたいな感じで、繁殖時期が終わると剥がれ落ちるのだそうな。
観察データ
場所と回数:道東クルーズ 1、計1回。
初の道東観察クルーズの海上で奇跡的に出会えました。レンジャーさん曰く「今日の出現は2週間ぶり。この中にきっと強運の持ち主の方がいらっしゃったのでしょう」とのことでした。運の持ち主は私ではなかったと思うので、どなたかわかりませんが、他のお客さんに感謝の次第。
仮にエトピリカは外したとしても、他にもたくさんの海鳥と出会えましたし、もし当地へ出かける機会があれば、自分の運を信じて一度は乗って見る価値があると思いました。
観察月と回数:
1月 0
2月 0
3月 0
4月 0
5月 0
6月 1 〇
7月 0
8月 0
9月 0
10月 0
11月 0
12月 0
計1回
日本では夏の道東にて、しかも狭い海域のみで見られる鳥です。冬は方々に散らばるため、近海で出会うのはまず難しいようです。国内では以前は一部の島でごく少数が繁殖してましたが、現在はまだ当地で繁殖しているかが定かでないくらい、滅多に見られない幻の鳥になりつつあります。ただしロシア極東や米国アラスカ方面では、まだまだ数が多い鳥であって絶滅危惧種ではないそうです。そう思うとまた日本に帰ってきてくれる可能性も0ではありませんね。機嫌を直してまた戻ってきて欲しい。
(トップ画像 エトピリカ 2025/6/30 道東 Z6II + 400mm/4.5 + 1.4x )
初出:2026/06/30




