Sakanaya's Graphic Works 福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in Fukuyama
Japanese Wild Birds in Fukuyama
セグロカモメ 背黒鴎
Segurokamome
Larus argentatus
Larus argentatus Timyrensis
Herring Gull
セグロカモメ チドリ目カモメ科
下クチバシに真っ赤なルージュ
全国で普通に見られる冬のカモメ
下クチバシに真っ赤なルージュ
全国で普通に見られる冬のカモメ
セグロカモメについて
セグロカモメは冬前に本州各地に渡ってきて越冬する大型のカモメです。全体的に白っぽい姿をしていて、優雅できれいなカモメだと思います。観察場所は港湾が一番お勧めです。漁船のおこぼれを狙ってい居ついていることが多いためです。以前住まいしていた広島県福山市の瀬戸内沿いでも、今住む太平洋沿いでも、冬に港へ行けば普通に見かけます。
本州の関東以西で見られるカモメは、ウミネコやユリカモメが一番数が多く、次に多いのがこのセグロカモメになるかと思われます。北国にいくとセグロカモメよりオオセグロカモメが増えてくる印象です。
1.サイズ的にセグロカモメの方が一回り大きい。2者が一緒にいれば割と簡単にわかるレベル。
2.背中の灰色はセグロカモメの方がかなり薄い。ウミネコは結構濃い灰色。グレー度で言えば、セグロカモメは20~30%くらいで、ウミネコは40~50%くらいなイメージ(印象)です。
3.クチバシの色付きは、セグロカモメは下クチバシのみの先端少し手前に真っ赤なポイントのルージュ。ウミネコは先端手前に上下共に黒い帯が入り、先端に赤いルージュが入る。
4.セグロカモメは成鳥になると尾羽が真っ白に。ウミネコは尾羽に黒い帯が入る。(ただしセグロカモメも幼鳥から成鳥に至るまでは尾羽に黒い帯があるので注意が必要)
5.セグロカモメは冬鳥なので初夏から秋にかけては関東以西で見ることはありません。夏に見られるカモメはウミネコのみです。
以上の点をしっかり見れば、初心者でも確実に見分けが付くと思います。慣れてくれば裸眼目視で分かるようになるレベルかと思います。
「亜種セグロカモメ 冬羽」 クリックで拡大します。

千葉県九十九里浜
1024×682 px
2023/12/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
九十九里浜の青い海をバックに記念撮影した絵です。
顔から胸にかけて薄茶色の細かな斑模様があるのは冬羽の特徴です。斑の濃淡については個体差があって、この鳥は薄い方だと思います。
「渚の亜種セグロカモメ」 クリックで拡大します。

千葉県九十九里浜
1024×682 px
2024/12/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
渚にぼっちでたたずんでいたセグロカモメです。セグロカモメは砂浜にぼっちでいるのをよく見かけます。
「亜種タイミル-セグロカモメ」 クリックで拡大します。
(右から5番目の足が黄色いセグロカモメ)

「亜種タイミル-セグロカモメ 拡大」 クリックで拡大します。
(右から5番目の足が黄色いセグロカモメ)

千葉県銚子市
1024×682,1280x853 px
2024/02/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
2023年3月に日本鳥類目録が第8版にバージョンアップされました。今回はいくつかの亜種が種に格上げされ、逆に種とされていたものが亜種に統合されています。本項のセグロカモメという種の括りには、これまで単独で種として記載されていたニシセグロカモメが亜種として統合されることとなりました。実際これから紹介するのは、以前日本名でニシセグロカモメとされていた亜種Lh.Timyrensisですが、ことがややこしいので順を追って少し説明をさせてもらおうと思います。
2000年9月に日本鳥類目録が第 6 版として改訂されました。このときは「ホイグリンカモメ」が種として記載され、亜種としてTimyrensisが含まれています。学名ではややこしいので仮にタイミルカモメとしましょう。国内で西日本にやってくるホイグリンカモメの多くは、主にこの亜種タイミルカモメで、私が過去5度ほど記録しているものも全てこの亜種タイミルカモメだと思われます。ちなみにホイグリンカモメの一番わかりやすい特徴は、セグロカモメ風の姿なのに足が黄色いことです。
2012年9月に日本鳥類目録が第 7 版として改訂されました。このとき上記ホイグリンカモメはニシセグロカモメと改名されます(学名は同じで日本名だけ変わった)。亜種タイミルカモメもそのままニシセグロカモメの亜種に移行します。この頃からすでにタイミル亜種はニシセグロカモメとセグロカモメの交雑種ではないかと図鑑に書かれています。ちなみに亜種ニシセグロカモメ(旧ホイグリンカモメ)はセグロカモメより背中の灰色が濃く、亜種タイミルは背の色がどちらかというとセグロカモメに近く、足の黄色さに少し肉色が入ると書かれています。このように亜種タイミルは亜種ホイグリンとセグロカモメの中間的な特徴をもっていることがわかります。
2023年3月に日本鳥類目録が第8版に改訂されました。ここで改訂7版でニシセグロカモメとされていた種は旧ホイグリンカモメもその亜種のタイミルも両方揃って「セグロカモメ」の中の亜種に統合されました。
6版 ホイグリンカモメ(亜種ホイグリンカモメと亜種タイミル)→ 7版 ニシセグロカモメ(亜種ニシセグロカモメ(旧ホイグリン)と亜種タイミル) → 8版 セグロカモメ(亜種セグロカモメと亜種ホイグリンと亜種タイミル) という変遷です。(以上2024年7月)
亜種タイミルの主な特徴です。
1.足が黄色い。これがタイミル亜種を探す一番のポイントとなります。
2.体系がややスマート。これはよく見るとというレベル。
3.くちばし下側先端の赤いルージュ印が大きい。具体的には下くちばしの下側から合わせ面までつながっている(セグロカモメは下側から始まって合わせ面までは届かない)ただしこれもすべてではありませんで、そういう傾向があるというくらいです。
全般的に見て亜種タイミルには上記のような特徴があります。
上で紹介する絵をみていただけますでしょうか。1枚目はこのときの全景です。銚子は本当にいろんな種のカモメが一堂に見られて面白い場所です。右からユリカモメ、ウミネコ、しゃがんでいるのはユリカモメ、セグロカモメ、セグロカモメの裏に隠れているのは無視)で、次の足が黄色っぽいのがタイミル亜種です。その左の中央に見えるのが典型的な亜種セグロカモメ。タイミル亜種と比べると、頭のサイズや胴体の太さなどで、亜種セグロカモメの方がより立派に見えます。
ちなみに亜種セグロカモメの左はワシカモメの幼鳥です。その左はウミネコの幼鳥、ユリカモメ、左端で重なっているのは手前からユリカモメ2羽、背中の黒色が濃いのが大セグロカモメですね。
ということでこの絵にはユリカモメ、ウミネコ、亜種セグロカモメ、亜種タイミルカモメ、ワシカモメ、オオセグロカモメの5種1亜種のカモメが混在しています。
次の絵は同じ絵をやや拡大してみたものです。真ん中の足が黄色っぽいセグロカモメ風の鳥が亜種タイミルと思われる個体です。足の黄色さや、くちばしの赤い印が大きいのがわかりますでしょうか。顔や頭の形も左のセグロカモメよりはシュッとしてスマートな感じですね。
「亜種セグロカモメの飛翔」 クリックで拡大します。

石川県能登半島
1024×682 px
2016/03/20
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
「のと里山海道」のPAで休憩した時に見つけたセグロカモメです。セグロカモメは海岸線の砂浜でぼっちで休んでいるところをよく見ます。この個体もそんなぼっちカモメでした。他のカモメは砂浜でなく岩場で休憩することが多いと感じます。(ウミネコ、ユリカモメ、オオセグロカモメなど)
丁度北国へ戻る渡りの時期だったのか、このあと訪れた珠洲の岬ではたくさんのセグロカモメが頭上を乱舞していました。
「亜種セグロカモメの飛翔 背」 クリックで拡大します。

千葉県銚子市
1024×682 px
2022/01/29
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
翼の背面が見える飛翔絵です。このくらいのグレーさが一番多いと思います。
「亜種セグロカモメの飛翔 腹」 クリックで拡大します。

千葉県銚子市
1024×682 px
2021/02/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3
セグロカモメの下面はほぼ白です。尾羽まで真っ白なのは成鳥の印です。この個体の顔のまだら模様はやや濃いめな感じでしょうか。
「亜種セグロカモメの飛翔 正面」 クリックで拡大します。

千葉県銚子市
1024×682 px
2021/02/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3
正面から見るととても翼が大きいのだとわかります。顔も小顔に見えますね。
「亜種セグロカモメの飛翔 若鳥冬羽 富士山をバックに 」 クリックで拡大します。

神奈川県三浦市
1024×682 px
2021/02/20
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
この個体は若鳥です、遠いのではっきりしませんが、一年生か二年生か微妙な感じです。
当日は小型バイクでの移動だったため、ゴーヨンはやめてTamronズームを持って行っておりました。非常に風の強い日で海も荒れていたため、波しぶきを避けて海岸線からは遠い位置で観察しておりましたところ、自然と富士と相模湾がバックになり、ズームの恩恵もあって全景を収めることができました。偶然の産物ですが運に感謝しています。(それでも全身に潮を浴びて帰って、後片付けが大変でした)
観察データ
場所と回数:瀬戸内 13、能登半島 1、駿河湾 2、新潟 2、三浦半島 10、東京湾 10、九十九里浜(銚子港含む) 20、宮城の太平洋 2、青森 2、北海道 3、計65回。日本全国で見られる冬のカモメです。
私の経験では西日本の方が多いように思えます。関東より北に上がるとオオセグロカモメの占有率が上がるように感じます。
一番よく見る場所は漁港周りです。漁船から発生する小魚のおこぼれを狙って、船について回るものが多いためで、この理由から、漁がない正月中は一時的に漁港からカモメたちの姿が消える(極端に減る)みたいなこともあります(経験済み。もう正月の銚子には行きません。。。)
観察月と回数:
1月13 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月13 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4月4 〇〇〇〇
5月4 〇〇〇〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月7 〇〇〇〇〇〇〇
11月4 〇〇〇〇
12月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計65回
記録を見ると宮城以南では10月5日~4月11日の間で見ています。5月は皆青森、北海道の記録です。5月の記録は色目的にセグロカモメだろうという感じで、もしかするとオオセグロカモメと見間違っている可能性もあるかなと思っています。アップの絵がないので、クチバシの太さによる判別も微妙で、自信のほどは60%くらいでしょうか。
(トップ画像 セグロカモメ 2024/03/16 D500 500mm f4.0 九十九里浜)
北風が吹く中、向かい風で比較的一か所に漂ってくれたところを撮りました。眼の虹彩がきれいです。
初出:2019/2/24
改定:2021/2/14 飛翔絵の差し替えと追加、観察データの追加
全面改訂:2024/03/24 全面書き直し
改定:2024/07/05 旧ニシセグロカモメをセグロカモメの亜種として統合。
改定:2024/12/11 渚のセグロカモメを差し替え。