ウミネコ 海猫
Umineko
Larus crassirostris
Black-tailed gull

ウミネコ チドリ目カモメ科
  夏でも見られる
目つきの怖い中型のカモメ


ウミネコについて



 ウミネコの名前の由来は、鳴き声がネコに似ているからだそうです。なんの捻りもありませんね。でも近くでよく聴いてみると、ちょっとネコとは違う気もします。私の印象ではネコとカラスの中間的な感じでしょうか。それとも中にはネコそっくりな鳴き声をするウミネコがいて、私が知らないだけなのかな。
 日本名とは違って英語名は”Black-tailed gull”とある通り「尾の黒いカモメ」の意味です。日本でよく見るセグロカモメ、ユリカモメ、カモメは皆成鳥になると尾羽が真っ白になります。一方これらのカモメたちも若鳥のときは尾羽に黒い筋が見られるので、慣れないうちは見分けるときに注意が必要です。特にセグロカモメとウミネコの1年生はわかりにくいかもしれません。
 ウミネコとセグロカモメの違いに関してはセグロカモメのページに細かく書いてありますので、よければ参考にしてください。

 カモメ類は日本でもたくさんの種が見られますが、ほとんどが冬鳥です。一方ウミネコだけは日本で周年見られます。したがって本州以南で夏場に見られるカモメは、実はほぼこのウミネコのみだったりします。(アジサシ類は除きます)ウミネコも夏場は東北へ移動して繁殖する個体が多いためさすがに数は減りますが、それでも一年を通じて最も観察機会が多いカモメだと思います。
 さてこれは私の癖ではありますが、「いつ・どこでも見られる鳥」というものは、出会ってもあまり真剣に撮ろうとしない傾向があります。このウミネコはその典型であります。とりあえずレンズは向けて記録はしているものの、どの絵を見てもなんというかひねりのない日の丸写真ばかりです。
 今回はそんな中でも「多少は面白みがあるかな?」と思った絵などもチョイスしながら、少し多めに紹介させてもらおうと思います。






「漁港で見上げたウミネコ 1」 クリックで拡大します。

漁港で見上げたウミネコ 1

千葉県県銚子市
1024x682 px
2020/02/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 太平洋に近い調子漁港での記録。漁港のカモメはときに画面からはみ出るくらいに、頭上すれすれを通り過ぎてくれます。冬場の銚子はカモメ天国です。
 



「漁港で見上げたウミネコ 2」 クリックで拡大します。

漁港で見上げたウミネコ 2

神奈川県小田原市
1024x682 px
2023/11/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 妻とバイクで小田原まで海鮮料理をいただきにプチツーリングしました。食後に近くの漁港周辺を散策していますと上空にカモメの姿が。首からぶら下げていたサンヨンでパチリと記録しておきました。
 お昼過ぎなので空を望むと逆行になりますが、これはこれでウミネコらしいシルエットが撮れました。冬の青空に感謝。
 



「太平洋のウミネコ」 クリックで拡大します。

太平洋のウミネコ

神奈川県三浦市
1024x682 px
2021/02/28
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 ウミネコの成鳥です。光の加減で背の灰色がかなり濃いめに写っています。
 



「富士山をバックに」 クリックで拡大します。

富士山をバックに

神奈川県三浦市
1024x682 px
2022/02/23
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 冬から春にかけて、三浦半島から駿河湾にレンズを向けると、少し青みがかかったきれいな富士山を見ることができます。空や海が青いから富士山も青く映るのでしょうか。
 「富士をバックに海鳥を格好よく撮りたい!」と毎年三浦半島に通っていますが、いまだ「これだ!」という絵は撮れていません。毎回富士山を見ているだけで何となく満足して終わってしまう感じです。このように「残念」「悔しい」という気持ちが沸かないのですから、進歩もありません。まあ言ってしまえば「富士山を見るために毎度通っているだけ」というのが偽らざる真相なのだろうと思います。
 



「磯のウミネコ2年生?」 クリックで拡大します。

磯のウミネコ2年生?

神奈川県三浦市
1024x682 px
2021/02/28
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 ウミネコは4年で成鳥になります。1年生と2年生は背の色がまだ茶色で幼い感じが残ります。
 この個体は背中の茶色がだいぶと抜けて見えるので、おそらく2年生なのかな?と思います。ちなみに自信のほどは55%くらいです。
 



「漁港のウミネコ1年生?」 クリックで拡大します。

漁港のウミネコ1年生?

千葉県銚子市
1024x682 px
2020/11/14
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 こちらの個体は背中も茶色が濃いのでこの年生まれの1年生だろうと思われます。なんとなく顔も幼い気がします。自信のほどは65%くらいです。
 



「佐渡航路のウミネコ」 クリックで拡大します。

佐渡航路のウミネコ

新潟県佐渡航路 往路
1024x682 px
2020/10/29
Nikon D500 Mode A
Nion DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED


 佐渡へ渡るフェリーに乗り込んで海を眺めに後部デッキに出てみると、たくさんのウミネコが新潟港からずっと、乗船客が投げる菓子エサを求めてついてきます。そんな光景を見ながら潮風に当たっていると、彼らはとうとう佐渡までついてきてしまいました。
 もしかして彼らは、フェリーが帰路につけば、また船について本土に戻るのでしょうか。果たして、おなかがいっぱいになるまで、一日に何度も島と本土を往復するのかな?もしかすると、ずっと飛んでいると丁度いい運動になるから、おなかは一杯にならずに永遠に往復しているのかも。。
 



「佐渡航路のウミネコ 復路 冬羽」 クリックで拡大します。

佐渡航路のウミネコ 復路 冬羽

新潟県佐渡航路
1024x682 px
2020/10/31
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 30-110mm
f/3.8-5.6


 フェリーでの海鳥観察を期待していたところ、見えたのは投げエサ目当てで付いてくるウミネコのみでした。そんな状況を知ったため、復路ではもう大きなカメラを出すのが面倒になって、手軽なV1と小さな望遠レンズで適当にウミネコの飛翔撮りをして遊んでみました。すると思いもよらず、V1ならではの味のある絵が残せました。D500で撮るのと一体何が違うのかはわかりませんが、絵が小さい割りにシャープさが独特な感じですね。瓢箪から駒で、以後長くお気に入りの一枚となりました。
 



「ウミネコ 成鳥 夏羽」 クリックで拡大します。

ウミネコ 成鳥 夏羽

岩手県宮古市
1024x682 px
2016/07/17
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3


 岩手県の三陸まで行けば、ウミネコの集団繁殖地が見られます。ここの浜辺は観光地なので、人が多く、カモメは投げエサを求めて人馴れしてしまっています。
 最近は日本でもおサルや大型動物へのエサやりはかなり「あげてはダメ!」みたいな意識が定着してきて良い方向に進んでいると思うのですが、どうも鳥に関してはまだまだそういう意識が弱いなと思います。一般人だけでなく、もう少し生き物に対する造詣が深いはずの鳥見の人ですら、近距離で写真撮りたいがために、公園や山で平気で餌付けをする人が多々見られます。「鳥たちの生活には入り込まないよう、節度ある距離感を保ちつつ、穏やかに自然との触れ合いを楽しむことはできないのかな?」と思う今日この頃です。

 顔回りが真っ白なのは夏羽の特徴です。


「ウミネコ 幼鳥」 クリックで拡大します。

ウミネコ 幼鳥

岩手県宮古市
1024x682 px
2016/07/17
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3


 くちばしの柔らかそうな感じからして、この夏に生まれたばかりの幼鳥ですね。
 顔だけ見るとまだ赤ちゃんっぽい感じですが、サイズ的にはすでに親と遜色ない感じがします。これだけ成長にスピード感があるのですから、親鳥も相当なペース給餌が必要だったのだろうと思います。親鳥の頑張りはもちろん、周囲の海の豊かさがあっての集団営巣地なのだでしょうね。
 この辺りは震災で大変だった場所ですが、海に関しては一足先に平常を取り戻しているように見えました。
 


「ウミネコ 羽根」 クリックで拡大します。

ウミネコ 羽根

岩手県宮古市
1024x682 px
2016/07/17
Nikon D200 Mode A
Nion DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED


 宮古の浜でまるで公園のドバト状態のウミネコの群れを見かけたとき、真っ先に思いつく一番の楽しみは彼らの羽根拾いでありました。その場では他の鳥を見ませんでしたので、拾った大きな羽は間違いなく皆ウミネコのものです。
 風切から雨覆、羽毛などたくさん拾うことができ、とても満足できたのですが、家に帰ってから羽図鑑と照らしてよく見ると、一番特徴的な白黒尾羽が拾えていないことがわかり、ちょっと残念。もう少し捜し歩いたら一枚くらい拾えたかもしれません。東北の海に行けばまたいつかウミネコの尾羽との出会いがあるかしら。
 




観察データ

場所と回数:佐賀 1、山口県 1、愛媛県 1、広島県 7、岡山県 1、静岡県 13、新潟県 2、神奈川県 14、東京都 5、千葉県 34、茨城県 4、宮城県 3、岩手県 1、青森県 5、北海道 2、計94回。九州から東北までの海ならどこにでもいる感じですが、比較的穏やかな内湾や漁港で見かけることが多いです。

観察月と回数:
1月6  〇〇〇〇〇〇
2月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
5月7  〇〇〇〇〇〇〇
6月2  〇〇
7月4  〇〇〇〇
8月6  〇〇〇〇〇〇
9月3  〇〇〇
10月19 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
11月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
12月7  〇〇〇〇〇〇〇
計65回

年中見られます。10月にカウントが多いのは、この時期に山の小鳥が夏冬入れ替わりで不調なために海に出かける回数が多いだけのことだと思います。(他に「鳥見をあきらめて海釣りに行ったところ、ウミネコと出会ってカウントが増えた」みたいなこともあったりします。。)




 (トップ画像 ウミネコ 夏の顔 2016/07/17 岩手県宮古市にて撮影)

 初出:2016/05/22
 改訂:2016/07/20 羽の画像を追加
 改訂:2019/01/05 観察データを追加
 改訂:2022/02/20 飛翔絵を2枚追加、観察データを更新
>  全面改訂:2024/06/22 全面書き直し