Sakanaya's Graphic Works 横浜市、福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in Yokohama,Fukuyama
Japanese Wild Birds in Yokohama,Fukuyama
オオセグロカモメ 大背黒鴎
Oosegurokamome
Larus schistisagus
Slaty-backed gull
オオセグロカモメ チドリ目カモメ科 準絶滅危惧種 NT
大きな翼で海辺を優雅にはばたく
本州中部以北に多い大型のカモメ
大きな翼で海辺を優雅にはばたく
本州中部以北に多い大型のカモメ
オオセグロカモメについて
オオセグロカモメは関東以北に多い大型のカモメです。関東あたりでは冬鳥ですから見られる時期は姿がよく似たセグロカモメと被っています。両者の違いは背中の色が濃いか薄いか。濃いのがオオセグロカモメで薄いのがセグロカモメと覚えておきましょう。
私が以前住んでいた瀬戸内海沿いの福山市では、大セグロカモメを一度も見たことがありません。したがって、私のオオセグロカモメの記録は関東に来てからのものとなります。神奈川や千葉でも見ますが、この辺りでは数的にまだセグロカモメが優勢です。これが東北から北に行くと勢力が逆転するイメージがあります。
私は北海道には初夏から夏にしか行ったことがありませんが、この時期オオセグロカモメは繁殖の時期であり、北海道なら道南から道北までどこででも(札幌の公園内でも)普通に見られる感じです。
オオセグロカモメは国内で繁殖しており、環境破壊による繁殖への懸念から、環境省定める準絶滅危惧種(NT)に指定されています。一方、セグロカモメは国内で繁殖しないため、レッドリストには掲載されていません。
あらためてレッドリスト掲載の基準について調べ、いろいろと考察したところ、国内で繁殖する種は、繁殖地とセットで保護する必要が生じた場合に掲載される傾向があると分かりました。また、繁殖はしない冬鳥であっても、越冬地がその鳥の特殊な生息環境(特に餌の対象)と密接な関係を持っている場合が多くあります。そのような場合、越冬地の環境が破壊されると、日本で居場所を失う可能性があるため、これも保護の対象となる傾向が高いようです。典型的な例は、埋め立てによって減少の一途をたどる干潟や葦原で越冬するシギ・チドリや猛禽類です。
ちなみにオオセグロカモメは世界的には希少種判定されておらず、LC扱いです。このあたりから野生生物保護の方針は、各国の地域環境保護対策と深いつながりがあることがわかります。
「オオセグロカモメ 成鳥 夏羽」 クリックで拡大します。

北海道 道東
1024x682 px
2025/06/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x
道東へ鳥見旅行に出かけた際、岬の周りでオオセグロカモメがたくさん飛んでいました。少し先の岩場では巣もあって繁殖しているようです。
こちらは目の前の遊歩道の手すりに飛んで降りて来たオオセグロさん。ここまで真っ白な顔をしたオオセグロカモメは夏の北海道ならではのものだと思います。
こちらのオオセグロカモメは体格もよくて、栄養も行き渡っている感じです。実際のところ、近頃はオオセグロカモメが増えすぎており、ケイマフリやウミガラスなどこの地で繁殖しているより小型な希少種が、このオオセグロカモメやカラスたちの捕食圧によって減少が進んでおり、バランス的にも問題視されてきているようです。確かに今回の道東や前回の道北旅行でも、移動中の電車が海岸沿いを走る度に、どこででもオオセグロカモメの姿を見ることができました。根室の宿泊施設などではオオセグロカモメたちの騒がしい鳴き声で早朝から目が覚めてしまったほどです。
オオセグロカモメは現在準絶滅危惧種 NTで保護されていますが、そのうち見直しが入って一転悪者扱いにされてしまわないかと少し心配になってしまいます。自然の調和は難しいものです。
「オオセグロカモメ 冬羽」 クリックで拡大します。

神奈川県三浦郡
1024x682 px
2017/01/08
Nikon D500 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3
神奈川の漁港で撮ったオオセグロカモメの成鳥 冬羽です。当地では様々な種類のカモメがいて、お互いがガヤガヤやっていました。
「オオセグロカモメ 第4回冬羽」 クリックで拡大します。

千葉県富津市
1024x682 px
2016/11/03
Nikon D500 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3
千葉の富津市の海岸で撮った成鳥一歩手前の第4回冬羽とみられる個体です。
「道東のオオセグロカモメ 第二回夏羽 ?」 クリックで拡大します。

北海道 道東
1024x682 px
2025/06/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x
道東の岬で見つけた翼がまだら模様のカモメ。オオセグロカモメ若鳥の夏羽なようでした。
国内の関東以南の地ではオオセグロカモメは冬鳥です。そのせいもあってか、自分の手持ちの図鑑のオオセグロカモメは冬羽姿の記載や説明が多く、夏羽姿の説明は成鳥のものばかりです。今回初めてグレーと白のまだら模様なオオセグロカモメを見たとき、最初は「これ初見の珍しいカモメ?」と一瞬構えてしまいました。その後この手の姿をしたカモメをちょくちょく見つけるにあたって、オオセグロカモメの若鳥らしいことに気づき、若鳥の冬の各回と比べてみてもおそらく2年生の夏羽なのだろうとわかりました。
当日は朝の間の霧が残っていて少し絵が白地んでいますがお許しを。
「オオセグロカモメ 第一回冬羽」 クリックで拡大します。

茨城県東茨城郡
1024x682 px
2016/02/06
Nikon V1 Movie Mode A
1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6
茨城の漁港で見つけたオオセグロカモメの若鳥。というか1年生なので幼鳥と言っていいのかもしれません。
セグロカモメの1年生と比べると、オオセグロカモメの方が全体的に薄茶色っぽくて、コントラストも柔らかい感じです。クチバシも基部まで全体的に黒っぽい感じでしょうか。
「オオセグロカモメ 親子」 クリックで拡大します。

北海道 道北
1024x682 px
2024/06/29
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
道北へ鳥見旅行に出かけた際、海沿いの道からオオセグロカモメが繁殖している岩場が見えましたので、陰に隠れて少し記録させてもらいました。
この岩は道からすぐの場所にあって、近くに民家・仕事場もあるような環境でした。道北ともなると本州と比べて生き物の環境も随分おおらかな感じがしますね。
「オオセグロカモメの飛翔 夏羽」 クリックで拡大します。

北海道道北
1024x682 px
2024/06/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
夏の北海道で撮った夏羽のオオセグロカモメです。陽の当たり具合の関係でやや背中の色が飛んでいます。
「オオセグロカモメの群れ 飛翔 夏羽」 クリックで拡大します。

北海道道北
1024x682 px
2025/06/30
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x
こちらも夏の北海道で撮った夏羽のオオセグロカモメの群れです。宿泊先の朝食前にカメラを持って朝練に出かけ、途中に寄ってみた漁港で撮った風景です。丁度朝の漁から戻ってきた漁船に、おこぼれを狙おうとたくさんのオオセグロカモメたちが寄っていました。
ちなみにこの日の道東の夜明け時間は3時43分でした。ただし当日の早朝は霧が濃かったので、夜明けの風景は見えず。楽しめず。この絵を撮った6時30頃は既に陽もだいぶと上がって、霧も幾分晴れてきておりました。北海道の鳥見は早朝がお勧めです(晩早くに眠くなるけど)。
「オオセグロカモメの飛翔 冬羽」 クリックで拡大します。

千葉県銚子市
1024x682 px
2021/02/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3
こちらは銚子で撮った冬羽のオオセグロカモメ。腹側から見るとセグロカモメと判別が難しいです。ただ透けた背中側のグレーもどことなく濃いめなのが分かりますね。
「オオセグロカモメの飛翔 第二回冬羽」 クリックで拡大します。

千葉県銚子市
1024x682 px
2019/02/10
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3
これも銚子で撮ったオオセグロカモメ2年生と思われる飛翔姿です。この頃の姿はセグロカモメの1年生と姿がよく似ているので自信のほどは60%くらいでしょうか。全体的に茶色が濃いことと、斑感が少ないこと、クチバシが太目に見えることなどからオオセグロカモメの2年生だろうという判断をしています。
「オオセグロカモメとセグロカモメ」 クリックで拡大します。

千葉県銚子市
1024x682 px
2019/02/10
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3
左側の濃いめなのがオオセグロカモメで、右手の背中のグレーが薄めなのがセグロカモメです。左の個体は少し翼の羽根を膨らませているため、多少姿が大きく見えますが、私の印象では名前の割には実際の両者のサイズ感はほとんど変わらない気がします。図鑑のサイズ表記を比べても、オオセグロの方が最大サイズが少し大きいくらいで、最小サイズはほぼ同じ。なので個体によってはサイズが逆転していることも多々あり、サイズで種を判定することはできないと思います。
一番のポイントである翼部分の色の濃さでも、太陽光の当たり具合で濃く見えたり薄く見えたり変化する場合があるため、色々な角度で見るなどの注意が必要です。
「オオセグロカモメの羽根 ?」 クリックで拡大します。

北海道道北
533x800 px
2024/06/30
Nikon D7100 Mode A
AiAF Micro Nikor 60mm / F2.8
道北で拾ったカモメの風切り羽根。サイズ・模様的にはオオセグロカモメの初列風切りP4あたりと一致します。ただ色目が薄くてセグロカモメっぽい感じもあります。一方、拾った場所あたりではオオセグロカモメしか見ておりませんので、元々色が薄いオオセグロカモメのものなのか、それとも落ちてから色が抜けたのか。。とりあえず「可能性で考えればやはりオオセグロカモメの羽根なのだろう」と判断することとしました。自信のほどは60%くらいでしょうか。
「オオセグロカモメの羽根 若鳥 ?」 クリックで拡大します。

北海道道北
533x800 px
2025/06/30
Nikon D7100 Mode A
Nikon DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED
一つ上の羽根を拾ってから丁度一年後、今度は道東でオオセグロの羽根を拾いました。こちらは岬の歩道横にたくさんの羽根が散らかっていたので、ハヤブサかなにかにやられた跡だったのかもしれません。
おそらくですが、左下から三列風切り、その右隣が中雨覆い、上の茶色いのが次列風切り、一番大きいのが初列風切り、その右のグレーのものが大雨覆い。小さいのは背や胸の羽毛でしょうか。
一つ上で紹介した風切りと似て見える初列風切り(一番大きいやつ)が一枚ありますが、両者を比べてみても2025年拾得の方は色目が少し茶色がかっています。また次列風切りなどは完全に茶色な羽根なので、「この羽根の落とし主は若鳥だったのかな ?」などと思っています。ただ今回のものはその2枚以外は普通にグレーな感じなので、もしかすると成鳥と若鳥の羽根両方が混ざっていたのかもしれません。周囲の家の屋根の上でオオセグロカモメばかりがたくさん休んでいたので、「少なくともオオセグロの羽根だろう」という点ではまず大丈夫かと思います。
観察データ
場所と回数:北陸 1、能登半島 1、駿河湾 1、佐渡 1、相模湾 3、東京湾 3、銚子・鹿島灘 9、宮城 2、青森 4、北海道 11、計36回。東~北日本に多いカモメです。福山時代には見た記録がありません。青森や北海道では繁殖しています。
荒れた外海で飛んでいるのも見ますし、穏やかな内湾や漁港でもよく見かけます。
観察月と回数:
1月2 〇〇
2月7 〇〇〇〇〇〇〇
3月3 〇〇〇
4月1 〇
5月4 〇〇〇〇
6月5 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
7月0
8月0
9月0
10月3 〇〇〇
11月2 〇〇
12月4 〇〇〇〇
計36回
東北以北では留鳥で繁殖もしています。青森や北海道ではウミネコのように海岸から近い岩場で営巣しているのをよく見かけます。北陸・関東以西では冬鳥です。私の本州中部あたり(関東含む)の記録は10/5~4/23までで、5,6月の記録は皆が青森~北海道のものです。ただ神奈川で4/23に見た記録は幼鳥でしたから、北に帰りそびれた個体の可能性があります。それ以外だと3/20まで。関東だけに絞ると2/28日となっているので、春先にはもう北に戻ってしまい、こちらにはいなくなるイメージです。
(トップ画像 オオセグロカモメ 2016/11/03 D500 15-600mm f5.6-6.3 東京湾)
初出:2017/4/9
改訂:2019/5/6
改訂:2021/2/8 文章の公正、観察データの更新
改訂:2021/2/14 飛翔絵の追加、観察データの更新
全面改訂:2025/03/08
改訂:2025/3/09 羽根写真の追加
改訂:2025/7/09 夏羽姿、羽根写真の追加












