ユリカモメ 百合鴎
Yurikamome
Larus ridibundus
Black-headed Gull

ユリカモメ チドリ目カモメ科
 京都鴨川でも見られる冬のカモメ


ユリカモメについて



 私がまだ学生時代のころ、鴨川にかかる橋で投げてもらうパンくずを上手にキャッチする白いカモメを見ました。誰に聞いたかは覚えていませんが、これは「ミヤコドリ」だと教えてもらい、「京都にいるカモメだからミヤコドリなのか」と覚えました。
 子供ながら「カモメは海にいる」「京都は内陸にある」ことはわかっていたので「ちょっとかわったカモメだ」と思いつつ、ユリカモメは自分の頭に刻まれていきました。

 あとで聞くと「ミヤコ」の部分は特に京の都を指すものではないようです。昔から町中で見られる鳥としてそう呼ばれていたとのことです。なお、日本では正式和名のミヤコドリもいます。こちらは干潟で貝をエサにする鳥なので、内陸で見ることはありません。

 ユリカモメは小型のカモメでかなり白っぽい姿をしているため、上品に映るカモメです。見た目の特徴としては足とクチバシが濃いめの赤色をしているところでしょうか。
 冬鳥で数はかなり多く、全国各地で普通に見られます。大抵は群れをなしており、多い時には数百の群れも見ます。基本的には海辺、特に港湾に多い鳥ですが、内陸の湖沼や大き目の川でもよく見かけます。人にもフレンドリーな鳥で、公園や観光地などでは餌を求めて間近にまで寄ってくることがあります。






「ユリカモメ 冬羽」 クリックで拡大します。

ユリカモメ 冬羽 1

ユリカモメ 冬羽 2

千葉県九十九里浜
1024x682 px
2025/03/01
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x

東京都
1024x682 px
2023/12/23
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 まずはアップ目な絵を2枚紹介します。
 1枚目:茨城の沼で撮ったお休み中のユリカモメ。足とクチバシが同じような赤色をしています。
 撮った場所は岸辺が公園になっている場所なのでユリカモメも人馴れしています。
 2枚目:東京の池でお休み中のユリカモメ。
 こちらも公園内の池なのでレンズを向けても人馴れしていて動じません。
 



「荒波のユリカモメ」 クリックで拡大します。

荒海のユリカモメ

神奈川県三浦市
1024x682 px
2022/02/23
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 磯場で海鳥観察をしていたところ、たくさんのユリカモメが周りを飛んでいました。磯に近い場所では波しぶきも上がって見ていてスリリングでした。
 


「ユリカモメ 冬 飛翔」 クリックで拡大します。

ユリカモメ 冬 飛翔 1

ユリカモメ 冬 飛翔 2

神奈川県三浦市、千葉県銚子市
1024x682 px
2022/02/23/2016/12/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 その1:上と同じ日のユリカモメ。少し見下ろすアングルなので背中の色目がわかるかとおもいます。色目はセグロカモメよりさらに薄いグレーな感じです。

 その2:Tamron A011で撮った少し古い記録です。正面から見ると翼が長いことがよくわかります。いかにも飛翔力が強そうな姿です。


「ユリカモメ 冬 一年生」 クリックで拡大します。

ユリカモメ 冬 一年生

静岡県清水市
1024x682 px
2022/11/12
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 伊豆の土肥から清水までフェリーが出ています。海鳥が見られるのではないかと思って、土肥から往復で乗船してみたところ、海鳥は全く現れずじまいとなりました。唯一現れてくれたのは、清水に近いあたりでお出迎えしてくれたユリカモメたちのみ。それでも普段より間近でユリカモメたちと遊べてよい時間が持てたと思います。
 こちらは背中の茶色模様や尾羽先端の黒帯などから1年生のようです。




「ユリカモメ 水上バスより」 クリックで拡大します。

ユリカモメ 水上バスより

静岡県清水市
1024x682 px
2022/11/12
iPhone SE2


 フェリーで清水に着いたあと、三保松原に観光に出かけました。このとき清水港から乗った水上バスでは、最初から最後までユリカモメがお見送りをしてくれました。
 この絵はiPhoneSE2で撮ったものですけれど、細部までしっかり写りつつ、歪みも少なくきれいに撮れています。ケータイの画質が上がってから、私はいつしか撮影に際し広角用の交換レンズもしくは風景用のサブ機は持ち歩かなくなりました。ケータイカメラは肌身離さず手元にあるわけですし、撮るまでの時間ロスもわずかなので本当に便利だなと思います。
 


「東京湾のユリカモメ 群れ」 クリックで拡大します。

東京湾のユリカモメ 1

東京湾のユリカモメ 2
千葉県船橋市
1024x682 px
2018/12/23
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

千葉県船橋市
1024x682 px
2022/01/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 ユリカモメは東京湾の最奥の海辺あたりでかなりの数が越冬しています。東京湾は流れ込む川も多いですから、小魚も豊富でユリカモメにとっても良い餌場になっているのだろうと思います。

 1枚目の方は1/160のシャッタースピード優先で流し撮りしたものです。普段は動画以外で低速シャッターを使うことはほとんどなく、このとき何故SSを落としていたのかはさっぱり思いあたりません。もしかすると単純に設定ミスだったのかも。というかその可能性が一番高そうに思えます。
 2枚目の方はよく見ると群れの中に正式和名の「ミヤコドリ」が写っています。およそサイズやクチバシの色なんかも似ているし、こうやって同じ場所にいたりするので名前も混ざってしまったのでしょうか。



「東京湾のユリカモメ 夏羽」 クリックで拡大します。

東京湾のユリカモメ 夏羽

千葉県船橋市
1024x682 px
2021/04/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 英語の名前にあるように、夏になると頭の部分が真っ黒になります。日本では冬鳥なため、黒頭巾を被ったユリカモメにはあまりなじみがありませんが、北に戻っていく4月以降になれば一部で夏羽化した頭の黒いユリカモメを見ることがあります。こちらの絵は4月11日に記録しています。黒頭巾のユリカモメに関し、私の記録では4月11日~5月3日までの間で記録があります。まだ見たことがない方は次回この時期をみて探してみられてはいかがでしょうか。





観察データ

場所と回数:瀬戸内 8、琵琶湖 1、駿河湾 8、新潟 2、三浦半島・相模湾 17、関東の内陸部 5、東京湾 15、九十九里浜~鹿島灘(銚子港含む) 18、宮城 3、計77回。日本全国で見られる冬のカモメです。
 漁港回りにはもちろん多くいますが、外海でもかなりよく見かけます。また一度に見る数も多いです。国内で見るカモメ類の中で、見る(群れの)数だけでいえばチャンピオンなのではないでしょうか。

観察月と回数:
1月14 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月15 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4月6  〇〇〇〇〇〇
5月1  〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月4  〇〇〇〇
11月11 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
12月14 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計77回

 記録を見ると宮城以南で10月26日~5月3日の間で見ています。5月は広島県福山市の記録ですから結構遅くまで越冬場所に残っている個体がいることがわかります。またこのトキの記録は黒頭巾姿をしていたので、北国でなくてもユリカモメの夏羽を楽しむチャンスは結構あるのではと思います。



(トップ画像 ユリカモメ 2021/02/11 D500 500mm f4.0 銚子市)
 

 初出:2014/11/02
 改訂:2016/12/31 静止画を差し替え
 改訂2:2018/7/1 トップ絵を差し替え
 改訂3:2019/1/2 群の飛翔画像を追加
 改訂4:2022/2/24 飛翔絵を差し替え、観察データを追加
 全面改訂:2025/04/06 全面書き直し