Sakanaya's Graphic Works 福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in Fukuyama
Japanese Wild Birds in Fukuyama
ゴイサギ 五位鷺
Goisagi
Nycticorax nycticorax
Black-crowned night heron
ゴイサギ ペリカン目サギ科ゴイサギ属
一本の白い髪飾りがお洒落な、夜元気になる蒼いサギ
一本の白い髪飾りがお洒落な、夜元気になる蒼いサギ
ゴイサギについて
ゴイサギは夜行性の鳥です。以前福山に住んでいたときは、周囲が田舎なもので毎日車で通勤をしておりました。そんなある日の仕事帰りの夜道でのエピソードです。
車が我が家に近づいて来ますと、景色はしんと静まり返った田園風景に替わります。田舎の夜道なもので街灯などはなく、前方の頼りは車のヘッドライトだけです。田んぼの側溝沿いに細く曲がりくねった道を外さぬよう、目前を注視しつつそろそろと進んでいると、ハンドルを切った先に突然仁王立ちしたゴイサギが出現!! お互いの目と目が合って、「うおっ!」とびっくりしあったことがありました。
福山の夜道はゴイサギだけでなく、意外とマガモやカルガモも道のど真ん中をとぼとぼ歩いていたりして、慌てて「ブレーキ!」などということも度々ありました。今の横浜の自宅近辺ではまずありえない懐かしい思い出です。
かようにゴイサギは夜行性なため、夜道で出会うことはあっても陽の下で出会うことは滅多にありません。結果、写真に収める機会は非常に少ない鳥だと言えます。
ゴイサギを写真に撮るなら繁殖時期に水草などが茂って、周囲に林などがあるような池の周囲などに出かけてみるのが良いと思います。この時期は昼でも池の周辺で見られることがあります。また早朝や日暮れ前に水辺近辺を見てみるのも良いかもしれません。
「ゴイサギ 福山の自宅裏」 クリックで拡大します。

2014/06/15
1024x682 px
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
福山時代の自宅近辺で早朝に見つけたゴイサギ。丁度早朝から鳥見に行こうと車で家を出てすぐのことでした。ちなみにこれがゴイサギの(写真で残せた)初記録です。タイムスタンプを見ると朝の7:16とあるので、ゴイサギもまだ早朝の活動時間内だったようです。
距離が50mくらいはあったので、最初車窓から見たときはアオサギだと思っていました。ただなんとなく首の長さ太さに違和感を感じたため、一応車を止めてレンズを通して確認してみたところ「いやちがうじゃん、ゴイサギじゃん。。」そこで慌てて窓を開け、手持ちで連射!したことを覚えています。この頃はTamron A011を手に入れて間もない頃だったので、あとで撮った絵を見て「600mmでもきちんとホールドすれば手振れ補正が効いて、結構きれいに撮れてるじゃない!!」と感動したものです。
上の絵を見ると目が真っ赤なのでちょっと怖い印象です。このあとすぐに山の方へ飛んで行ってしまったので「陽が登ってきたのでドラキュラさんも寝床に戻ったのか?」みたいな感じを受けました。
「ゴイサギ 夕暮れのペア?」 クリックで拡大します。

広島県福山市
1024x682 px
2015/06/16
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
こちらも福山で撮った記録です。前回と違って夕暮れ前に撮った絵です。こちらのタイムスタンプは18:53です。当日は曇りの日だったと思うので、写真で見るよりもっと薄暗い環境だったと思います。
ゴイサギは雌雄同色なので判定ができませんが、写っている二羽はおそらくペアだったのかなと思っています。
「ゴイサギ 親と幼鳥(ホシゴイ)」 クリックで拡大します。


広島県
親:2014/07/05
1024x682 px
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
幼鳥:2014/08/23
1024x682 px
Nikon V1 Mode A
Nikkor AiAF ED 300mm/F4s
車で走っているとき、ゴイサギが繁殖している池をたまたま見つけました。1枚目は池の周囲にいた親です。繁殖場には昼でも普通にいますが、木や草に隠れていることが多いです。
2枚目は上の絵から一月後に同じ池で撮ったゴイサギの幼鳥です。
ゴイサギの幼鳥は茶色の地にティアドロップ型の星模様が特徴で、俗称ですが「ホシゴイ」と呼ばれています。サイズは既に親と同じだけありますし、見た目は親と全然違うので、昔の人は最初ゴイサギとは別種のサギだと思って名づけたのかもしれませんね。
「ハワイ・オアフのササゴイ」 クリックで拡大します。

ハワイ・オアフ島
1024x682 px
2019/04/13
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
次男の結婚式でオアフに出かけ、空いた時間でモアナルアガーデン(この木なんの木=モンキーポッドの木があるところ)にでかけました。ここでたくさんの鳥を見ることができたのですが、最後に出てきたのがこのゴイサギ。見た目は日本のものとまず同じです。ただこちらは赤道に近い南国の真昼間です。日本では夜行性なのに、真反対な環境で私たちの前に出てきたので私的には非常に違和感がありました。「もしかして亜種違いかな?」と思い、図鑑などで調べてみたところ、次のことがわかりました。
このゴイサギは移入種でなく、オアフに昔からいる原産種である。現地名では”Auku'u”と呼ばれている。
オアフのゴイサギは亜種として"Nycticorax nycticorax hoactli"とされ、主に南北アメリカ大陸で見られる亜種である。一方、日本で見られるものはヨーロッパ大陸で見られる基亜種"Nycticorax nycticorax nycticorax"とされる。ただし、学者によっては両者は同一亜種と見る見方もあって、結局のところ真相は藪の中。
ということで、「オアフのゴイサギは日本のゴイサギと一緒なのかもしれないし、別亜種なのかもしれない。でも少なくとも見た目は全く一緒だ!」「格好が一緒だったら種も一緒で別にいいじゃん。後は「双子でも性格は違う」みたいなもんでしょ!」というところで納得することとなりました。
観察データ
場所と回数:福山市 4、東京都(三宅島) 1、ホノルル 1、計6回。川や池、田んぼのなどの水辺で見ます。
観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月1 〇
5月1 〇
6月2 〇〇
7月1 〇
8月1 〇
9月0
10月0
11月0
12月0
計6回
留鳥です。私の記録で見る限り、初夏から夏場までの繁殖時の方が明るい時間帯に観察できる可能性が高い気がします。英語の名前の通り、基本夜行性なので、観察の可能性を上げるには朝・夕の間詰め時に水辺を探すのがよいと思います。実際港などに夜釣りに出かけると、ゴイサギが係留された船の周囲で「グワーッ!!」と大きな声で鳴きながら飛ぶところをよく見かけます。(あまり気持ち良い体験ではありません。かなり不気味です。。)
ゴイサギの名前には醍醐天皇から正五位の位を授けられた鷺との由来があるそうです。五位の位といいますと、今の社会でなら大学の名誉教授クラスや、社会の発展に大きな寄与を残した企業経営者とかに与えられる位なのだだそうで、例えば有名な野口英世先生なんかがこれをもらっているのだとか。ゴイサギって偉いんだなぁとちょっと見方が変わりました。ドラキュラ扱いしてごめんなさい。
(トップ画像 ゴイサギ 2014/07/05 福山市)
初出:2014/09/02
改訂:2015/06/16
改訂:2021/08/15 オアフのゴイサギを追加。サギ科へのリンクを追加。観察データを追加
全面改訂:2025/04/24 全面書き直し