メダイチドリ 目大千鳥
medaichidori
Charadrius mongolus
Lesser Sand Plover

メダイチドリ チドリ目チドリ科

干潟にやってくる
 丸っこい 中型のチドリ


メダイチドリについて



 メダイチドリは主に渡り鳥としてやってくる丸っこい体つきをしたチドリの仲間です。サイズはシロチドリより一回り大きく、ハマシギやミユビシギに似たサイズです。色姿もハマシギの冬羽と似ているので、遠くから混じった姿を見ると群れに溶け込んでいるように見えてしまいます。
 ハマシギなどのシギ類とはくちばしの長さが違うため、よく見れば見分けは簡単です。一方、近縁のオオメダイチドリとは見比べが非常に難しくなります。ただこの場合は数的にメダイチドリの方がかなりの多数派なので、どちらかというとオオメダイチドリを探す方が主題になりますでしょうか。なので、この話はオオメダイチドリの方でお話しさせてもらおうと思っています。






「メダイチドリ 冬羽」 クリックで拡大します。

メダイチドリ 冬羽 1

メダイチドリ 冬羽 2

メダイチドリ 冬羽 飛翔

千葉県東京湾
1024x682 px
2018/10/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 東京湾にて秋の渡りで見たメダイチドリです。この時期は冬羽姿で雌雄ともに地味な姿になっています。
 メダイチドリ冬羽の地味な姿は一見シロチドリの冬羽と雰囲気が似ていて、見慣れないうちは両者の判別は難しいと感じます。私の見分け方をお伝えすると、一番の違いは「丸っこさを感じる」でしょうか。メダイチドリはとにかくふっくら丸っこいのが一番の特徴です。シロチドリは華奢で小顔に見えますね。
 三枚目の飛翔絵は飛んで逃げていく場面ですが、冬羽のメダイチドリは翼を広げても全く持って地味です。




「東京湾のメダイチドリ 夏羽」 クリックで拡大します。

東京湾のメダイチドリ 夏羽 1

東京湾のメダイチドリ 夏羽 2

東京湾のメダイチドリ 夏羽 飛翔

千葉県東京湾
1024x682 px
2020/08/15-2021/04/11-23/05/26
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
(+ AF-S TC-14E III TC14E3)

 こちらは同じ東京湾の干潟で撮った夏羽姿のメダイチドリ。明るいオレンジ色が目立って、随分と印象が変わります。目の透過線が黒色でコントラストが濃く見えるのが ♂ で、茶色っぽく薄いのが ♀ です。2枚目の飛翔写真を見ると、旅鳥だけあって、翼が長く、飛翔力が強そうですね。




「オオメダイチドリ風なメダイチドリ」 クリックで拡大します。

オオメダイチドリ風なメダイチドリ

千葉県東京湾
1024x682 px
2020/08/15-2021/04/11-23/05/26
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 千葉の干潟でシギチを観察していたとき、くちばしの長い大き目のチドリを見つけました。「お! 久しぶりにオオメダイじゃん!」と喜んで、たくさんシャッターを切って帰りました。家に戻って自分の記録帳でもオオメダイチドリと記録していました。以上は今から5年前の話です。ところが、今回このメダイチドリのページを更新するにあたって、自分の過去のメダイチドリの写真を一通り見直してから、このオオメダイだと思っていた写真をもう一度眺めてみると、メダチドリと比べて思ったほど違いが感じられません。「あれ ? これってメダイチドリだったの ? かな ??」と。。
 確かにこの個体は他のメダイチドリよりはくちばしが長いのですが、メダイチドリと同じように上下に太くてがっちりしたくちばしに見えます。自分が福山で記録していたオオメダイチドリはもっと細長い感じで、顔つき、体つきも少し違います。
 ということでこの絵の記録はオオメダイチドリ → メダイチドリへと修正することとなりました。チドリ類の同定はやはり難しいです。




「福山のメダイチドリ」 クリックで拡大します。

福山のメダイチドリ

広島県福山市
1024x682 px
2015/04/19
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 以前住んでいた瀬戸内海中央部でもメダイチドリは見ることができました。見たのは春に一度だけだったので、滞在時間が短い通過時だったのかなと思います。数もポツンと一羽だけでした。当日ハマシギがたくさんいたので、こちらに混じってやってきたのでしょうか。ちなみに一週間後はもういなくあんっていました。




「有明海のメダイチドリ Anarhynchus atrifrons チベット砂チドリ ?」 クリックで拡大します。

有明海のメダイチドリ Anarhynchus atrifrons チベット砂チドリ ?

佐賀県東与賀町
1024x682 px
2014/08/13
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 有明海で見たメダイチドリにはよく見かける夏羽姿の個体の他に、額部分の白色がなく、黒マスクをしたようなメダイチドリが混じっていました。またこの個体は胸の赤さもかなり鮮やかで濃い気がします。図鑑で調べてみると、この手の顔をしたものは「稀に西日本にやってくるチベット亜種」として紹介されていました。
 ここからが問題です。どうも最近(2023年)になってこのチベット亜種のメダイチドリは、別種"Anarhynchus atrifrons"-"Tibetan sand plover"として扱われるようになっているのだとか。メダイチドリは元々オオメダイチドリと共に英名でSand Ploverと呼ばれているので、共通名を直訳すると砂チドリ。仮にこの新しく認定された種をチベット砂チドリとでも名付けましょうか。こちらがメダイチドリと別種ということになれば、当webの登録種も一つ増えることとなって、それはそれはとても嬉しいことなのですが、2024年に日本鳥学会から出された「日本鳥類目録」690種にこの種は入っていません。鳥の学会って各国で色々あるみたいなので、ネットで「世界の情報」として出てくる「チベット砂チドリ」をどう捉えるべきなのか、私などは判断できません。別に海外種でも種は種であるので、本当に別種となるのならそれで一向に構わない(むしろ嬉しい)のですが、何せ10年前のしょぼい記録絵でそもそも良い判断材料でありません。また絵で見るとサイズ感がハマシギより一回り大きく見えるので、これまた額が真っ黒な個体がいるというオオメダイチドリの可能性もあります。ただオオメダイチドリでこの絵のような幅が広くて鮮やかなオレンジ色の胸をした個体はいないと思われ、可能性は限りなく低いと思います。結局いずれにも確証が持てす、今も悩み中であります。





観察データ

場所と回数:沖縄県 八重山諸島 1、佐賀県 有明海 2、福山市 1、東京都 東京湾 1、千葉県 東京湾 7、千葉県九十九里浜 1、計13回。ほぼ干潟で見ています。外海沿いの砂浜は出会い確率1/13とかなり稀です。

観察月と回数:
1月 1 〇
2月 0
3月 1 〇
4月 2 〇〇
5月 0
6月 0
7月 0
8月 4 〇〇〇〇
>  9月 1 〇
10月 3 〇〇〇
11月 0
12月 1 〇
計15回

旅鳥です。一部越冬するものもいていそうですがあまり多くはないと思います。夏羽は4/11~8/26の間で見ています。




(トップ画像 メダイチドリ 夏羽 2020/08/15 D500 500mm + 1.4x 千葉県東京湾

 初出:2018/10/21
 改訂:2021/01/25 夏羽の絵を差し替え、観察データの追加
 改訂:2021/08/23 チドリ科へのリンクを追加、観察データを更新
 改訂:2025/10/18 全面作り直し