ハジロコチドリ 羽白小千鳥
Hajirokochidori
Charadrius hiaticula
Ringed Plover

ハジロコチドリ チドリ目チドリ科

オレンジ色の足が目立つ
 シロチドリに混じって現れる小型のチドリ


ハジロコチドリについて



 私は経験上、海辺で出会う小型のチドリは基本シロチドリ、淡水の岸辺や田畑で出会う小型のチドリは基本コチドリ、というふうに覚えています。たまにやや中型寄りのメダイチドリやオオメダイチドリをみますが両者とも少数派なので、小型のチドリをみかけたらまずは「シロチかコチドリだろう」と思ってしまいます。
 2016年の晩秋、東京湾の干潟にでかけましたところ、岸辺では毎度のごとくシロチドリが元気に走り回っています。天気もよくロケーションがよいので、いつも見る鳥ではありますが、姿を追いかけて撮影しておりましたところ、その群れの中に少し違和感を感じる個体がいることに気づきました。「いったい何が変なんだ?」撮った絵を見て他のシロチドリと比べてていたところ、明らかに足の色が違いました。普通のシロチドリは灰色の足をしていますが、その個体はオレンジ色の足をもっていました。不思議に思って近くにいらした鳥見の方にお聞きしたところ「ハジロコチドリですよ」とのこと。その名前は図鑑で記憶していましたが、特徴とかは記憶にありませんでした。
 家に戻って記録を見直してみますと、確かにこの個体がハジロコチドリであることを確認できました。シロチドリは首輪模様が胸のところで途切れていますが、ハジロコチドリは首の周りをぐるっと一周回っています。ちなみにこの「輪」が英名の由来になっているようですね。かように「足の色」と「首輪」がシロチドリとの見分けのポイントでしょうか。






「干潟のハジロコチドリ 冬羽」 クリックで拡大します。

干潟のハジロコチドリ 冬羽

千葉県東京湾
1024x682 px
2016/10/13
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 こちらは初めてハジロコチドリを観察したときの記録です。サイズがシロチドリとほぼ同じなので混じっていても中々気づきません。ただよく見るとオレンジ色をした足が目立つので、じっくり観察していれば違いに気づけると思います。
 この個体はこの年から翌年までの冬の間、この浜で越冬していたと思われます。(17年2月末まで同一個体と思われる記録が3度残っています)ハジロコチドリは割とレアな部類の渡り鳥ですが、越冬してくれると慌てて観察する必要もなく、落ち着いて見られるのでありがたいですね。ここしばらくは見たことがないので、また寄ってほしいものです。




「ハジロコチドリの間接頭掻き」 クリックで拡大します。

ハジロコチドリの間接頭掻き

千葉県東京湾
1024x682 px
2016/10/16
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 チドリの仲間は頭を掻くときに翼を下げて、足をその上から伸ばして頭を掻きます。ハジロコチドリは足が長いので、直接でも届きそうな気がしますが、間接頭掻きをする理由は他にありそうです。




「九十九里浜のハジロコチドリ」 クリックで拡大します。

九十九里浜のハジロコチドリ 1

九十九里浜のハジロコチドリ 2

九十九里浜のハジロコチドリ 3

千葉県九十九里浜
1024x682 px
2021/01/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 私は定期的に寄る九十九里浜の観察地がいくつかあります。その中に浜から突き出た石積みの突堤がありまして、毎年冬場に必ず寄って海鳥観察にいそしんでいます。また突堤先端部から眺める海鳥だけでなく、その途中の消波石にもシギチがよく来ているので、こちらを探すのも楽しみの一つになっています。
 2021年の冬はラッキーなことにここでハジロコチドリを見つけることができました。周りに人もいないので、ハジロくんを独り占めした気分で、たくさんの絵を撮ることができました。




「ハジロコチドリである証拠写真」 クリックで拡大します。

ハジロコチドリである証拠写真

千葉県九十九里浜
1024x682 px
2021/01/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 ハジロコチドリはレアな渡り鳥であると先にお話ししました。しかしそれよりもっともっとレアで、且つハジロコチドリに非常によく似た「ミズカキチドリ」という種がいます。
 こちらは何年かに一羽迷ってやってくる的なチドリらしいのですが、千葉にも飛来記録があるのだとか。ハジロコチドリとの違いは足指の間にある水かき状の膜にあります。
 こちらの写真をみると真ん中の指と外側の指の間に小さな膜があるのがわかります。水かきチドリはこちら側の膜がもう少し大きく、また内側の指との間にも小さな膜があるのだとか。
 このときの記録は結構近くから撮れたものが多かったのと、足を上げた絵もたくさんあったので、この鳥はハジロコチドリであることがわかりました。今後「お、ハジロコチドリ見っけ!・・・あれ ? 大きな水かきがあるじゃん!」とかみたいなことが起きたら、めっちゃびっくりするんでしょうね。ハジロコチドリを見つけたら、足指をしっかり確認できる絵を残しておきましょう。




「ハジロコチドリ 飛翔」 クリックで拡大します。

ハジロコチドリ 飛翔

千葉県東京湾
1024x682 px
2016/10/16
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 この絵は動画から切り取りした絵です。
 名前の通り、翼に白い帯が目立っています。コチドリに白帯はありませんが、このときのハジロコチドリはシロチドリと一緒にいたので、同じく白帯を持つシロチドリと一緒に飛ばれると、どれがどれだかわからなくなります。







観察データ

場所と回数:千葉県東京湾 3、千葉県九十九里浜 1、計4。干潟もしくは砂浜沿いの岩場で見ています。岩場では小さな環形類(ゴカイの仲間)を捕っていました。東京湾ではシロチドリに混じった単体。九十九里浜では文字通りの単体での観察でした。

観察月と回数:
1月1 〇
2月1 〇
3月0
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月1 〇
11月1 〇
12月0
計4回

数が少ない旅鳥もしくは冬鳥。私の場合、10,11,2月の記録は越冬した同一個体のものと思われます。




(トップ画像 ハジロコチドリ 2021/01/30 D500 500mm F4.0 九十九里浜 首輪模様が胸で途切れず一周しているのが英語名の由来です。

 初出:2017/03/8
 改定:2021/01/31 冬羽静止画の差し替え、観察データの追加
 改訂:2021/09/05 チドリ科へのリンクを追加