ウミアイサ 海秋沙
Umiaisa
Mergus serrator
Red-breasted Merganser

ウミアイサ カモ目カモ科
 ♀ に懸命に求愛する ♂ の姿が面白い
 スマートな潜水ガモ
 

   

ウミアイサについて



 ウミアイサは名前の通り海で見られる潜水ガモです。私は福山時代によく芦田川の河口堰で鳥見をしていました。すると堰を境に海側にはウミアイサが、川側にはミコアイサが、と完全に分かれて浮かんでいることが分かりました。その間わずか数十mですが、生息範囲は見事に分かれておりました。
 ウミアイサはコントラストがはっきりとした美しいカモです。姿もカモ類の中では最もスマートな部類ではないかと思います。
 日本では広い範囲で普通に見られますが、数自体は少な目な印象です。「珍しい」とまではいかないものの、「結構希少感を感る」といった立ち位置にいる鳥だと思います。




「ウミアイサ ♂ 」 クリックで拡大します。

ウミアイサ ♂


千葉県東京湾
2018/01/02
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 ウミアイサ ♂ のギザギザ頭は遠目に黒っぽく見えますが、陽が当たると緑に光ったり紺色っぽく光ったりしてとてもきれいです。白黒のコントラストがはっきりしているので、遠くからでもよく目立ちます。



「ウミアイサ 水面下覗き見中 」 クリックで拡大します。

ウミアイサ 水面下覗き見中

北海道斜里郡
2022/05/03
1024x682 px
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 丁度この前日に阿寒湖で見つけたカワアイサが、水面に顔だけを浸けて進みながら下面の獲物を探すのを見ておりました。同族のウミアイサだから同じような行動をするんだなと納得したことを思い出します。
 



「ウミアイサ ペア?」 クリックで拡大します。

ウミアイサ ペア?

広島県福山市
2014/12/13
1024x682 px
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 この時期はまだペアリングができていない時期なので、この3羽はペアではないと思います。ウミアイサは1月も後半になると ♂ が ♀ に対してものすごい求愛ディスプレイ攻勢に出ます。♀ を前にして ♂ 同士がディスプレイで対決するのですが、彼らの真剣さが見える一方で、その動きにとても愛嬌があって見ていて本当に面白い。皆さまも機会があれば是非ご観察あれと思います。
 



「ウミアイサ ♀ 青森湾、東京湾 陸の上」 クリックで拡大します。

ウミアイサ ♀

青森県青森湾
2017/03/18
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
♀ AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

ウミアイサ ♀ 陸の上

千葉県東京湾
2017/04/22
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
♀ AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 ウミアイサの ♀ はカワアイサ ♀ と色目がよく似ています。1枚目のようなシルエットだけでは中々判別が難しいと思います。ただ居場所がそれぞれ海と川で分かれているので、両者を間違うことはあまりないと思います。(場所によると淡水域で両者が混在しているときもあるらしいですが、自分的には経験がありません)またミコアイサ ♀ とも似ていますが、ミコアイサは全体が少し小さめで丸っこいし、クチバシが黒くて短いところで見分けができます。
 



「ウミアイサ 飛翔とその拡大」 クリックで拡大します。

ウミアイサ 飛翔

ウミアイサ 飛翔 拡大


神奈川県相模湾
2025/02/22
1024x682 px
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 新しく手に入れたZ6IIとFマウントゴーヨンの組み合わせで相模湾へ海鳥観察・撮影をしに出かけました。海を眺めていると遠くにカモらしき姿の群れが。「何かな?」と思ってファインダーを覗いてみると、スマートな姿からウミアイサだとわかりました。
 ここは駿河湾のほぼ外側よりな場所なため、湾というよりは外洋に面した場所です。このあたりは小魚が多いので、ウミアイサのような魚色の鳥には良い餌場があるのかなと思います。九十九里浜のような遠浅の砂場では貝を餌にするカモ類が多いようで、海の深さや底質で越冬するカモの種類も変わるようです。
 群れを少し拡大してみると何故か大半が ♀ で ♂ は先頭に2羽しか見えません。全体的でも4/23羽が ♂ でしたから、おそらく理由があって雌雄が偏っているのだろうと思います。逆に、九十九里浜の潜水ガモ(クロガモやシノリガモ)の群れはいつも ♂ が大半で ♀ は少数しか見ません。こちらにもきっと理由や意味があるのでしょうけど、毎度ながら自然ってとても不思議です。

 




観察データ

場所と回数:広島県5、神奈川県3、千葉県東京湾5、茨城県1、宮城県1、青森県1、北海道2、計18回。全て海の記録です。見ているのは皆、波が余り高くないような場所ばかりです。荒波のかぶるような海では見たことがありません。

観察月と回数:

1月6 〇〇〇〇〇〇
2月2 〇〇
3月4 〇〇〇〇
4月1 〇
5月2 〇〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月3 〇〇〇
計18回

冬鳥です。本州での記録は12月13日~4月22日までと、比較的遅く来て遅く帰るように思えます。5月の記録はいずれも知床での記録です。
 



 (トップ画像 ウミアイサ 求愛ディスプレイ中 2014/01/25 V1 300mm F4 福山市)

   初出:2025/02/24