ミサゴ 鶚
Misago
Pandion haliaetus
Osprey

ミサゴ タカ目ミサゴ科 準絶滅危惧 NT
 豪快に海へダイブするフィッシュキャッチャー
 巨大な翼を持つその名はオスプレイ


ミサゴ


 ミサゴは魚食性の猛禽類です。準絶滅危惧種に分類されますが、国内に広く留鳥として生息していますし、国内の猛禽類ではトビの次に見かけることが多い鳥ではないかと思います。海、湖沼、広い河川でときに50cmを越えるような大きな魚さえ捕獲して空中に舞い上がるので、その豪快なダイビング(ハンティング)でバーダーにも非常に人気が高いタカです。
 ミサゴは2000年代になって、従来分類されていたタカ科からミサゴ科という独立した科に分離されました。このようにタカ科から外れはしましたが、今もより大きなくくりとしての「タカ目」の一員ではあります。なので同時期にタカ目から外されたハヤブサ類のような種とは違い、現在もミサゴは「タカ」であります。



「ミサゴの飛翔 1、2」 クリックで拡大します。

ミサゴの飛翔 1

広島県福山市
1024x682 px
2014/11/02
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

ミサゴの飛翔 2

茨城県稲敷市
1024x682 px
2025/01/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 ミサゴは非常に細長い翼を持っています。慣れればトビとの見分けは遠目でもすぐにできるようになります。尾羽も短めなので、タカの中でもアスペクト比が最も横長な部類だと思います。
 色目模様は雌雄同色で、また個体間の違いもあまりないように思います。目は黄色でクチバシも鋭く、顔は精悍な印象があります。。



「ミサゴのホバリング 1.2」 クリックで拡大します。

ミサゴのホバリング 1

ミサゴのホバリング 2

広島県福山市
682x1024 / 1024x682 px
2014/11/02
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ミサゴは水面上空から眼下の獲物を見定めるため、に見事なホバリングを行います。有名なアメリカの垂直離着陸機(大きな翼を持ったティルトローター機)がオスプレイと名づけられているのも納得です。
 この絵は羽ばたきを表現するため、SSは1/320に抑えて撮ってありますが、頭だけはブレずに残っているのがわかりますでしょうか。鳥ってミサゴだけでなく、どの鳥も移動時に目の位置だけは揺れないんですよね。揺れる木の枝に止まってバランスを取る鳥も、よく観察していると身体は揺れても頭だけは定位置で動かないんですよ。「野生動物はバランス感覚が素晴らしい!」とつくづく感動します。



「急降下するミサゴ」 クリックで拡大します。

急降下するミサゴ

神奈川県三浦市
1024x682 px
2023/12/10
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 獲物めがけて急降下を開始したミサゴ。でもこのあとは突入には至らずまた上空に舞い戻っていきました。
 ちなみにミサゴでもカワセミでも、水面めがけてダイブした瞬間は結構大きな「パーン!!」という音が響いてきます。見るまではもっとスマートなものかと思っていましたけど、実際はかなり激しい感じです。



「枝に止まるミサゴ」 クリックで拡大します。

枝に止まるミサゴ

「ミサゴの爪」 拡大はありません。

ミサゴの爪

千葉県
1024x682 px
2025/01/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 ミサゴが小さい魚を鷲掴み(鷹掴み?)にし海辺の木の天辺に飛んできました。足をよく見ると、鉤爪がもの凄く長いことがわかります。まるで釣り針のようなこの長い爪で魚を逃がさないようにしっかりと掴むことができるのです。

 足元をアップで見るとこの鉤爪はもう一つ他のタカにない特徴が見て取れます。爪が前後2本ずつで相対しているのがわかりますでしょうか。これは対趾足と呼ばれるもので、ミサゴの場合はしっかりと獲物(魚)を掴むために、前後の指に均等な力が持てるようこのように進化したようです。
 ちなみにオオワシやオジロワシも魚食性のワシタカですが、前指3本、後ろ指1本と他のワシタカと同じ指の配置をしています。こうやって見るとミサゴがいかに魚ハンターとして優れた能力を持つタカであるかがよく分かりますね。


「ミサイルを抱えたオスプレイ」 (拡大は無しです)

ミサゴ

広島県
450x300 px
2015/03/29
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 瀬戸内海で鳥見をしていたら、スズキらしき魚を抱えたミサゴを見つけました。ミサゴは♂で55cm、♀で65cmくらいと図鑑にありますので、この魚は45cm以上はありそうな感じです。見た目、体高も結構ありますし、スズキなら「セイゴ」から「ハネ」に出世したくらいのサイズで、人間が釣りあげるにも結構なファイトを求められるサイズです。人間の体で比べるなら、水中にいる1mをはるかに越える魚を素手で捕まえるようなものです。。絶対無理ですね。。これを足爪だけで捕まえて、水から引き吊り上げて飛び立つまでするのですから、ミサゴは相当な足腰を持っていることがわかります。



「ミサゴ」 クリックで拡大します。

ミサゴ

広島県
1280x853 px
2020/07/23
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 雨の日に海辺を散策していると、どこからピーピーという鳴き声が。たまたまでしたが、ミサゴの巣を見つけてしまいました。せっかくなので少し観察させてもらうとヒナはもうかなり大きくミサゴの姿をしていて、3羽の姿が見えました。そのとき近くの枝に止まっている親にレンズを向けると私と目が合ってしまい、私はさっさと退散することに。。。皆元気に育つといいな。



「ミサゴ 給餌」 クリックで拡大します。

ミサゴ 給餌

広島県
1280x853 px
2020/07/23
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 餌を待つヒナ鳥に大きなダツらしき魚を捕ってきた親ミサゴ。とはいえダツは細いですから、育ちざかりのヒナにこれだけではまだまだ足りないことでしょう。ミサゴが毎回「おいおい!マジか!?」と思うくらいにビッグサイズのスズキやボラを抱えているのも、なんとなく分かる気がしました。


観察データ

場所と回数:長崎県 1、山口県 2、広島県 26、鳥取県 1、岡山県 2、滋賀県 2、静岡県 2、長野県 1、神奈川県 3、東京都 3、千葉県 3、茨城県 16、宮城県1、計63回。
 場所としては海(汽水含む)28、湖沼・川 19、山 11。山の8/11回は山中にあった巣での目撃です。ボラやスズキが多い河口や、コイやウグイなどが多い湖・大型河川沿いが出会う確率が最も高く、観察もし易いのでお勧めです。

観察月と回数:

1月7  〇〇〇〇〇〇〇
2月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月6  〇〇〇〇〇〇
4月4  〇〇〇〇
5月1  〇
6月2  〇〇
7月4  〇〇〇〇
8月2  〇〇
9月5  〇〇〇〇〇
10月6  〇〇〇〇〇〇
11月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
12月7  〇〇〇〇〇〇〇
計63 回

留鳥です。ダイブは年中見られます。



 トップ絵について。ダイブの絵に挑戦したものの、中々格好良い絵が撮れず、結局「溺れかけのミサゴ」みたいな絵になってしまいました。

 (トップ画像 ミサゴ 2014/11/03 D200 150-600mm 福山市)

 初出:2014/11/09
 改訂:2015/01/28
 改訂:2020/08/2 動画の更新、静止画と観察データの追加、
 全面改定:2022/08/13
 改訂:2025/05/90 静止画を全面差し替え、