カルガモ 軽鴨
Karugamo
Anas poecilorhyncha
Spotbill duck

カルガモ カモ目カモ科
 にやけた顔した憎めないカモ

   

福山市、横浜市近辺での観察


カルガモの紹介、動画

 カルガモは日本全国どこでも最も普通に見られるカモ類です。場所も池、川、海どこででも見られますし、時期も周年見られます。関東以西で夏場に見つけたカモならば、該当するのはこのカルガモくらいのものです。山に行けば夏の西日本でもマガモやオシドリなどがいるかもしれませんが、平地で見られるのはカルガモだけと思って間違いないと思います。
 特徴としてはオスもメスもほぼ同色で明るめの茶色に黒が混じるまだら模様。目に前後して黒い透過線があって、少々にやけたお顔をしています。サイズはカモの中では中級サイズでほぼマガモと同じサイズです。
 カルガモと言えば皇居のお堀付近で雛達を連れて歩く姿が有名です。しかし私の住むような田舎の環境ではそのようなお引越し姿は見られません。理由を考えてみたのですが、おそらく生息場所が豊富なのでそもそも移動する必要などないからなのだろうと思います。ちなみにここに載せた動画の冒頭の田んぼの絵は私の自宅周辺のものですし、歩いてすぐ近くの川では雛も見かけますが、道端でカルガモ親子を轢きかけた経験はありません。

 ちょっと脱線しますが、漫画ワンピースのアラバスタ編に登場する超カルガモ部隊は主な能力として「早く走る」ことを特徴付けられていますが、実際のカルガモは走ることはあまり得意でありません。先に紹介した皇居のお堀への徒歩移動の姿や、陸に上がった時に赤くて大きい足が目立つことからそのようなイメージが生まれ易いのかもしれませんね。当たり前ですがカルガモが人に気付いて逃げるときは、走り出す前にさっさと飛んで逃げます。

 ここからは2020年のお話。今、日本、特に首都圏ではコロナウイルスの猛威で外出自粛の日々が続いています。普段から完全にテレワークになっている私は、せめて休みの日ぐらいは御近所を散歩させてもらわないと、既に不健康さも深刻な状況です。幸い家から歩いて出られるご近所の川沿いには長い遊歩道があるので、ちょくちょくここを散歩させてもらって、折れそうになる心をなんとかつないでいるのでありました。
 5月に入ってすぐの休みの日、川に出かけてみると、丁度生まれて間もないヒヨコたちを引き連れたカルガモ親子に出会うことができました。トップ絵に置いたものがその時の絵です。なんとも可愛らしい光景でしたのでここで紹介させてもらうことにします。

 ここは上流も下流も何キロも護岸工事がなされた川なので、大雨による増水があれば巣もヒナもあっという間に飲み込まれてしまうでしょう。子育てするにはかなりリスクの高い繁殖場所だと思われます。ただ栄養豊富な川のため、カルガモの餌となる藻や水草が多く、普段通りだと住みよい場所なのだろうなと思います。歩いてみる限り、流域には数十の居着いたカルガモが住んでいるようです。「大人はいいけど、子育てには果たしてどうだなんろう?」と思ってみていますとこのヒナたち、想像以上にずっと俊敏で、結構な急流もすいすい浮かんでどんどん移動していきます。コンクリートの護岸に上がってもちょこちょこ動き回り、結構カルガモ戦隊並みの素早い走りを見せてくれるかも。
 願わくばこの日の9羽が皆すくすくと育って長く生き延びて欲しいと、自身が身の危機を感じる今だからこそ強く思いました。

 カルガモの動画です。最初の場面は福山時代のもの。夕方の早い時間に家の周りを歩いていて見つけたカルガモです。続く川の場面は広島県の芦田川上流でのもの。濁った水でも澄んだ水でもなんでもござれ!なところがいかにもカルガモらしいですね。最後は横浜市の自宅近くの川で見つけたカルガモ親子。ヒナは9匹いました。お子様たちはちょっと気を抜くとすぐに親から離れてしまうのですが、彼らが「うわ!かあちゃんが遠い!」と気づいた時、「戻れー!」って全員がものすごい勢いで親のもとに集まって来ます。やっぱりこの親子連れの姿は見ていて癒されますね。

 左「カルガモの動画 福山市、府中市、横浜市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


カルガモのカップル?

 福山市の我が家からお気に入りの野鳥観察場所に車で出かける際、途中に水鳥が豊富に見られる池があります。目的地で鳥に逢えず空振りに終わった時は、気分転換を兼ねてこの池で少し鳥見して帰ることにしています。以前はゴルフの練習場であった池なのですが、ここ数年は人の手が入らない池になっていて、年ごとに池の様子が変化し、毎年違った水鳥がやってきます。今年は例年になく池一面に浮き草がびっしりと生え、夏はチュウサギがたくさん集まっていました。秋に入り、浮き草も枯れ始めて水面が見えてくると、今度はカルガモとマガモとバンが集まってきました。このカルガモはカップルのようです。カルガモは雌雄で腰の羽色の濃さに差があるので、おそらく左(濃い)が ♂、右(やや薄い)が ♀ だと思われます。昨年は冬が厳しくなるにつれ、この池にホシハジロやミコアイサが増えましたが、さて、今年はどんなお客さんが集まるのでしょうか。

 左「カルガモのカップル? 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


カルガモの飛翔

 2015年の春も近い3月、福山市北部の池でオカヨシガモを撮ろうと立ち寄ったら、私の姿で驚かせてしまい、オカヨシガモ達を飛ばしてしまいました。心の中で「すまん!」と謝りつつ、せっかくなので飛翔写真を撮っていると、どうもカルガモも一緒に飛び立っていたようです。とばっちりを食わせてしまい、合わせてごめん。でも後から撮れた写真を見てみると青空が綺麗で私的にはラッキーでした。その後彼らはまた同じ池に戻って来てくれました。良かった良かった。そのかわりにオカヨシガモ達はちょっと遠くに着水しましたが。。。

 左「カルガモの飛翔 福山市の池にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:広島県 35、岡山県 10、鳥取県 2、大阪府 3、滋賀県 1、長野県 2、山梨県 1、神奈川県 9、東京都 1、千葉県 6、茨城県 4、福島県 1、宮城県 2、山形県 1、青森県1、計79回。私が行く先ではどこでも大抵みられる水鳥で、実際私のカモ類の中では最も記録数が多い種です。川や池、湖沼はもちろん結構荒い外海でも見られます。そもそも出会うことが多すぎてわざわざ撮らないことも多々あるので、実際の出会いはここにあるより相当多いと思います。

観察月と回数:
1月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月5  〇〇〇〇〇
3月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
5月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
6月2  〇〇
7月1  〇
8月2  〇〇
9月5  〇〇〇〇〇
10月9  〇〇〇〇〇〇〇〇〇
11月4  〇〇〇〇
12月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計79回
留鳥です。日本の本州平地で見られるカモ類の中では唯一平地での繁殖が見られる種です。毎年皇居のお濠を親子で移動行進するので有名なくらい、街中の水辺でも繁殖する様子を観察することができます。年中観察機会も多く、日本ではもっともポピュラーなカモだと思います。



 (トップ画像 カルガモ 2020/05/02 V1 70-300mmズーム 横浜市自宅周辺にて撮影)

 初出:2014/11/12
 改訂:飛翔画更新:2015/03/14
 改訂:親子動画の追加:2020/05/04
改訂:2021/08/13 カモ科(水面採餌型種)へのリンクを追加、観察データを追加