オナガガモ 尾長鴨
Onagagamo
Anas acuta
Northern Pintail

オナガガモ カモ目カモ科
 ピンと伸びた尾羽がポイント
 いつも夫婦仲良し
 

   

オナガガモについて



 オナガガモはマガモサイズの中型のカモです。名前の由来は( ♂ の)尾羽が細長く伸びている姿にあります。また尾羽だけでなく、身体全体も割とスマートな体形です。御多分に漏れず、♀ の方は茶色一色の姿をしています。オナガガモがよく一緒にいるのがマガモやヒドリガモ、コガモなどですが、先の体形の件もあって、見慣れてくるとこれらの種とは比較的簡単に区別ができるようになります。
 一般的には池や川で見ることが多いですが、海でもよく見られます。内湾だけでなく、外海でも見ることがあり、生息環境はマガモとよく似ています。
 オナガガモは冬の渡り鳥で、早い場所では10月くらいから見られます。ただ飛来当初の時期の ♂ は色目こそ真冬と同じような姿をしているものの、特徴的な尾羽はまだ特出するほどには伸びていません。なのでオナガガモを観察するなら、お正月を過ぎた頃にご覧になることをお勧めします。






「オナガガモ ♂、♀ 水の上」 クリックで拡大します。

オナガガモ ♂ 水の上


オナガガモ ♀ 水の上

岡山県笠岡市 2024/03/02
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 ♂ はグレー基調で白黒の縞がとてもきれいな姿をしています。日本のカモ類の中では最もシックな姿のカモだと思います。この個体は特に尾羽が長くピンと伸びていてカッコいいです。

 ♀は生殖羽の時期にやや明るい茶色になって、肩から脇あたりの渦を巻いたような模様がきれいです。



「オナガガモ ♂、♀ 陸の上」 クリックで拡大します。

オナガガモ ♂ 陸の上

♂ 長野県安曇野市 2018/02/25
1024x682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

オナガガモ ♀ 陸の上

♀ 岡山県笠岡市 2014/11/16
1024x682 px
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 ♂ の絵は長野の川べりで撮ったもの。背中の飾り羽根も伸びてきれいです。

 ♀ の方は岡山の笠岡干拓にある小川沿いで撮りました。オナガガモはくちばしや首が長いのでとてもスマートでスタイルもよいですね。
 ここの背景にある赤い草はアッケシソウという塩生植物です。笠岡干拓は元々浅海の干潟だった場所を埋め立てて干拓地とした場所なので、近くの海から海水が滲み入ってくるのでしょうか。確かにこの小川にはフナ虫がいるし、イソシギやアオアシシギもみたことがあるので汽水なのだと思います。
 





「オナガガモ 飛翔 ♂、群れ」 クリックで拡大します。

オナガガモ 飛翔 ♂

♂ の飛翔 宮城県 2018/12/08
1024×682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

オナガガモ 飛翔 群れ

群れの飛翔 千葉県 2020/01/15
1024×682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 宮城にガン類を観察しに行ったときに撮った絵です。オナガガモの翼鏡(翼の付け根側の色付いたところ・・飛行機で言うフラップのあたり?)は緑色だとわかります。また、この絵の尾羽をみるとあまり長く伸びてはいないことがわかります。時期的にまだ生殖羽に移行できていないのだと思われます。

 2枚目は千葉県の干潟で撮った群れの飛翔です。こちらの ♂ の尾羽は既にだいぶと長く伸びてることがわかります。越冬地について、少し落ち着いた頃から恋の季節が始まるのでしょうか。
 




観察データ

場所と回数:広島県 6、岡山県 13、鳥取県 3、徳島県 1、滋賀県 2、長野県 1、新潟県 1、神奈川県 1、千葉県 21、茨城県 1、栃木県 1、福島県 1、宮城県 8、北海道 2、計62回。全国くまなくいる感じです。
 水質による内訳は、淡水20、汽水22、海水20ときれいに分かれていて、塩分濃度による好き嫌いはなさそうです。また荒海でも見ているので、水に関してはかなりオールマイティーな水鳥だと思います。ただ、草食のカモなはずなので、昼間に荒海で過ごしているのを見ると、「腹は減らないの?」と少し不思議に思うこともあります。(マガモも荒海でよく見るので、そこにいるのにも何かしら意味があるのだろうと思います)

観察月と回数:
1月14 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月11 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月5  〇〇〇〇〇
4月2  〇〇
5月6  〇〇〇〇〇〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月2  〇〇
11月8  〇〇〇〇〇〇〇〇
12月15 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計61回
冬鳥です。北海道を除くと私の観察は10月4日(広島)~5月7日(宮城)で記録しています。ただ3月くらいからは順次北に戻るようで、春になると数はぐっと減ります。♂ のきれいに伸びた尾羽を見るなら、1月~2月までがお勧めです。



 (トップ画像 オナガガモ ペア D200 150-600mm/F5.6-6.3 ズーム 2014/11/30 岡山県)

 初出:2015/01/04
 ♂の絵の変更:2015/03/04
 飛翔の絵の変更:2019/01/02
 改訂:2021/08/12 カモ科(水面採餌型種)へのリンクを追加、観察データを追加
 全面改訂:2024/01/13