クロツラヘラサギ 黒面箆鷺
Kurotsuraherasagi
Platalea minor
Black-faced spoonbill

クロツラヘラサギ ペリカン目トキ科 絶滅危惧種IB EN
 東京湾にもやってくる
 数が少ないヘラサギ


クロツラヘラサギについて



 クロツラヘラサギは東京湾にも少数が飛来する珍しめの渡り鳥です。私も初めてクロツラヘラサギを見たのは東京湾の干潟です。ただその日はいた場所が非常に遠く(ざっと300mくらい ?)て、写りとしては豆粒、いや米粒状態だったので、証拠写真にもならないような絵しか撮れませんでした。聞くところ、たまにはすぐ近くに飛来してくることもあるそうですが、私はそちらに通うのも何かとしんどいので、以後チャレンジしていませんでした。
 その後2025年の3月に八重山諸島へ野鳥観察旅行に出かけたとき、マングローブ林の湿地でクロツラヘラサギの小群れを見つけ、やっとなんとかそれなりの絵を残すことができました。(それでも雰囲気50~60mくらいの距離だったでしょうか。決して近い距離ではありませんでした。。)

 日本全体で見ると飛来地は主に九州以南に多く、全体で300羽程度が飛来していると考えられています。名前に"・・サギ"と付いているものの、実際はサギの仲間ではなくトキ科に属する鳥です。サギ科の鳥とは同じペリカン目同士なので、DNA的にそう遠くないものの、やはり色々と違いがあります。両者を比べたときに一番わかりやすい違いと言えば、トキ科の鳥はサギ科のように首をS字に折りたたまず、真っ直ぐ伸ばしたままで空を飛ぶ点でしょうか。

 クロツラヘラサギは日本各地で定期的に飛来する個体がいるので、国内希少野生動植物種にも指定されています。基本的に干潟の鳥なので、保護は干潟とセットとなります。





「クロツラヘラサギ 正面、横向き」 クリックで拡大します。

クロツラヘラサギ 正面

クロツラヘラサギ 横向き

沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/14
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x


 名前の通り、クロツラヘラサギは先端がへら状になったくちばしが一番わかりやすい特徴となっていて、遠目でもすぐにわかります。面白いのがそのクチバシの厚みで、例えばサギなどのクチバシはどちらかというとサーベル状で横には細く、縦に幅がある形状です。しかしヘラサギ類のくちばしは縦に非常に薄くて、横に幅があります。こういう形状のくちばしをもつ鳥は、色々な科にも一定数いますが、くちばしの薄さで言えばヘラサギが一番ではないでしょうか。

 せっかくなのでもう一点。横向きの絵で目元を見てもらうと、クチバシから口元、おでこ、そして目にかけてが続けて真っ黒なため、目がどこにあるのかが分かりにくいと思います。一方よく似た素の"ヘラサギ"は目の周りが白色で黒色部から分離していまして、ここが"クロツラ"ヘラサギの名前の由来となっています。なお、上の写真は3月の絵なのでまだ冬羽です。夏羽は胸に淡いオレンジ色が出て、後ろ頭に飾り羽が伸びます。




「クロツラヘラサギの群れ」 クリックで拡大します。

クロツラヘラサギの群れ

沖縄県八重山諸島
1024x682 px
2025/03/14
Nikon Z6II Mode A
AF-S NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S +
Z TELECONVERTER TC-1.4x


 マングローブ林の前に並んだクロツラさんたち。当日は5羽ほどの小群れで見えました。飛んできたところを写せなかったのは残念。目視した「大きく真っ白な翼を広げた飛翔姿」はとても美しかったので、また次の機会を作りたいものです。



観察データ

場所と回数:八重山諸島 、東京湾 1。計2回。
 観察場所は基本的に干潟です。飛来数は少ないですが、大きいのでいれば遠くからでも認識はできると思います。
 国内では有明海が越冬地として有名ですが、最近は東京湾の飛来数も片手くらいまで増えてきているようなのでこれからが楽しみです。

観察月と回数:

1月 0
2月 0
3月 2 〇〇
4月 0
5月 0
6月 0
7月 0
8月 0
9月 0
10月 0
11月 0
12月 0
計 2回

 渡り鳥です。日本へは越冬地としてやってくるものと、旅の途中で寄るものがいます。若鳥などではたまに夏を越す個体などもいるようです。



  (トップ画像 クロツラヘラサギ 2025/03/14 Z6II 400mm/F4.5 沖縄県八重山諸島)

 初出:2025/10/10